2005-01-01から1年間の記事一覧

年末に山形で購った本

ブックオフ山形寿店 ★今東光『河内カルメン』(徳間文庫) カバー、300円。鈴木清順監督の映画は録画しておいたのだが、未見。ISBN:4195975441 ブックオフ山形桜田店 ★小林信彦『コラムにご用心』(ちくま文庫) カバー、105円。ISBN:4480030298 ★庄野潤三『…

2005年読んだ本

山形の実家に帰省したところ、実家のパソコンがネットにつながらないというトラブルにでくわし、しばらくネットの世界に遊ぶことができなかった。ようやく解決したので、旧年中にまとめていた「2005年に読んだ本」のリストをアップしようと思う。 どんな本を…

耳に残るドンドンドドン

「破れ太鼓」(1949年、松竹京都) 監督木下恵介/阪東妻三郎/村瀬幸子/森雅之/小林トシ子/桂木洋子/木下忠司/大泉滉/宇野重吉/滝沢修/東山千栄子/小沢栄太郎/沢村貞子 今回の帰省で実家に持ち込んだDVDは6枚。それぞれ違う監督の作品を選んだ。…

「素直に貰って」の贈与論

庄野潤三さんの初めての女の子のお孫さん「フーちゃん」を主人公にした小説『鉛筆印のトレーナー』(福武書店、→12/11条)を読み、久しぶりに庄野さんの作品世界に触れると、このまままた間隔を空けて、その世界から離れてしまうのが惜しくなった。せっかく…

大阪生まれの江戸っ子や!

メモリーズ・オブ・若尾文子Part6@衛星劇場(録画HDD) 「東京おにぎり娘」(1961年、大映) 監督田中重雄/若尾文子/中村鴈治郎/川口浩/川崎敬三/ジェリー藤尾/叶順子/沢村貞子/藤間紫/村田知栄子/伊藤雄之助/八波むと志 あまり期待せず、ただタ…

嬉しや『芳兵衛物語』

大学堂書店@本郷三丁目 ★尾崎一雄『芳兵衛物語 他二篇』(旺文社文庫) カバー、450円。尾崎さんと奥さんの芳江さんの新婚生活を描いた長篇。ほか連作の「なめくぢ横丁」「もぐら横丁」を収録。とても嬉しい成果。 ★山田稔『スカトロジア(糞尿譚)』(講談…

映画の時間をひねり出せ

昨年末、昨年一年間に観た36本の映画をふりかえり、これまでの人生で観た本数に匹敵するほどの数を観たと書いたけれど(→2004/12/30条)、今年はさらにその倍を超える80本の映画を観た。 一年で80本の映画を観たとなれば、他人から「映画ファン」と言われて…

“古本ごころ”を取り戻せ

先の週末、突然左上の奥歯がズキズキと痛み出し、それが原因と思われる微熱・頭痛に悩まされた。最初は風邪かなと思っていたのだけれど、風邪のように熱が長引かない。夜中に熱っぽくなり、朝になると平熱に戻るのである。 とはいえ、歯痛だけなら我慢のしよ…

言葉から都市空間の変化を探る

泉麻人さんの本は、ここ数年、出るとたいてい購い、しかも積ん読行きをまぬがれ、ほどなく読んでいるように思う。調べてみると今年も文庫ばかり4冊の新刊を買い、うち3冊を読んだ。『なぞ食探偵』*1(中公文庫、→1/31条)・『バスで田舎へ行く』*2(ちくま文…

佐藤春夫の探偵小説が文庫で

江戸川乱歩によって日本の探偵小説興隆に功績があった作家として崇め奉られたのは、谷崎潤一郎と佐藤春夫の二人の「文豪」である。この二人は文豪なるがゆえに、一般的な小説からは一段低く見られがちだった探偵小説(的小説)を書いていたことを、乱歩は見…

夕刊フジ連載エッセイ中間報告

山藤章二さんが挿絵を担当した、山口瞳『酒呑みの自己弁護』や吉行淳之介『贋食物誌』、および昨日触れた藤本義一『サイカクがやって来た』などは、すべて『夕刊フジ』連載エッセイであった。 もともと一篇一篇が短いながら、内容がつまっていて、しかもそれ…

複雑なる東京・大阪対立

いわゆる「山藤挿絵本」にのめり込んでから、そろそろ一年になる。思えば昨年の年末帰省したとき、吉行淳之介『贋食物誌』(新潮文庫)と野坂昭如『エロトピア1・2』(文春文庫)を手に入れたのがきっかけだった。 年が明け今年に入り、『贋食物誌』や先に読…

シリアスになりきれない渋谷実

リクエスト・アワー@衛星劇場(録画DVD) 「二人だけの砦」(1963年、松竹) 監督渋谷実/脚本斎藤良輔・松山善三・渋谷実/アイ・ジョージ/岡田茉莉子/三國連太郎/ミヤコ蝶々/菅井一郎/笠智衆/加藤嘉/佐野淺夫/奈良岡朋子/丹波哲郎/浜村純 去年…

涙腺破壊

市川雷蔵ビッグスペシャル 大雷蔵まつり@衛星劇場(録画HDD) 「沓掛時次郎」(1961年、大映) 監督池広一夫/原作長谷川伸/市川雷蔵/新珠三千代/杉村春子/志村喬/稲葉義男/島田竜三/滝花久子 川本三郎さんは、木下恵介監督の追悼文「追悼・木下惠介…

書籍部で買えなかった本

大学生協の組合員になっているので、書籍が一割引で購入できるのはありがたい。大学生協書籍部に依存しがちになるのは仕方ないことである。専門書を除き、一般的な文芸書などの品揃えは町の大書店に劣るうえ、新刊が並ぶスピードも鈍い。待ち望んでいた新刊…

空白を活かす小説作法

都筑道夫さんの小説を読んだら、次に佐野洋さんの小説を読みたくなるという気持ちの流れは、去年から今年にかけて、収まらずにずっと続いている(→2004/7/16条・6/26条)。 そのときにも書いたけれど、二人の間には「名探偵要不要論争」と言うべき論争があっ…

英国大使館側壁観察の歴史

生誕100年記念・幻の成瀬巳喜男サイレント映画特集@衛星劇場(録画DVD) 「限りなき鋪道」(1934年、松竹蒲田) 監督成瀬巳喜男/原作北村小松/忍節子/磯野秋雄/山内光/若葉信子/葛城文子/日守新一/香取千代子 成瀬巳喜男はP.C.L(のちの東宝)に移…

日守新一の沈黙

「監督 黒澤明の仕事」@日本映画専門チャンネル(録画HDD) 「生きる」(1952年、東宝) 監督黒澤明/脚本黒澤明・橋本忍・小国英雄/志村喬/日守新一/田中春男/藤原釜足/中村伸郎/千秋実/左卜全/金子信雄/関京子/渡辺篤/清水将夫/木村功/伊藤…

親密さの向こうがわ

今年1月に文春文庫に入った『せきれい』を読んでその作品世界に感銘を受け(→1/23条)、同書が含まれる“老夫婦物”を中心とした「庄野潤三強化年間」を高らかに宣言したはいいものの(→1/28条)、『せきれい』はこのシリーズの三作目にあたり、さらに、それに…

渋谷の美術館・博物館めぐり

「幻想のコレクション 芝川照吉」@渋谷区立松濤美術館 かなり歩くぞと脅しをかけてもついて行くと主張する長男を連れ、代々木上原から山手通り沿いを歩いて松濤へ。 秋に東京都現代美術館で開催された「東京府美術館の時代 1926-1970」展(→9/23条)同様、…

後半で爆裂する

懐かし映画劇場@NHK-BS2(録画DVD) 「お嬢さん乾杯」(1949年、松竹大船) 監督木下恵介/脚本新藤兼人/佐野周二/原節子/佐田啓二/坂本武/村瀬幸子/永田靖/東山千栄子 羽振りのいい34歳の自動車修理工場経営者(佐野周二)が渋々見合い話に応じたと…

針が逆にふれる

日活名画館(リクエストシアター)@チャンネルNECO(録画HDD) 「霧笛が俺を呼んでいる」(1960年、日活) 監督山崎徳次郎/脚本熊井啓/赤木圭一郎/芦川いづみ/葉山良二/吉永小百合/西村晃/二本柳寛 脇役脇役と騒いでいるうちに、とうとう鹿島茂さん…

滝沢修伝説

茺田研吾さんは『脇役本』*1(右文書院)のなかで、滝沢修について熱く語っている。 「大好きな俳優」「滝沢が出演している映画やテレビは、つとめて見るようにしている」というほどのファンである茺田さんは、滝沢が亡くなったとき、劇団民藝の稽古場で営ま…

書けば自ずと資質がわかる

大村彦次郎さんの新著『時代小説盛衰史』*1(筑摩書房)を読み終えた。 野間清治が『講談倶楽部』を創刊した明治44年(1911)から書き起こし、全14章。終章では、時代小説の大御所吉川英治が死去し、同誌が廃刊された昭和37年(1962)を少し越えた翌昭和38年…

殺される人が大事

懐かし映画劇場@NHK-BS2(録画HDD) 「五瓣の椿」(1964年、松竹大船) 監督野村芳太郎/原作山本周五郎/脚本井手雅人/音楽芥川也寸志/岩下志麻/加藤嘉/左幸子/加藤剛/田村高廣/伊藤雄之助/小沢昭一/西村晃/岡田英次/市原悦子/山岡久乃 原作は…

大坂志郎は二度死ぬ

「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第24弾 芦川いづみ」@ラピュタ阿佐ヶ谷 「硝子のジョニー 野獣のように見えて」(1962年、日活) 監督蔵原惟繕/宍戸錠/芦川いづみ/アイ・ジョージ/南田洋子/桂木洋子/平田大三郎 最近なぜか日活映画をよく観るようになっ…

回想録と歴史書のあいだ

小林信彦さんの『テレビの黄金時代』*1(文春文庫)を読み終えた。 小林さんの他の本の例に漏れず、すこぶる面白い。ぐいぐいと読者を引っぱってゆく力がある。けれども、ただ「面白い」を連発し、何が面白かったのかをこまごま説明するのでは、これまで書い…

物真似で金子信雄を知る世代

「鈴木清順 日活時代全40作品連続放送」@チャンネルNECO(録画HDD) 「野獣の青春」(1963年、日活) 監督鈴木清順/原作大藪晴彦/宍戸錠/渡辺美佐子/川地民夫/小林昭二/金子信雄/信欣三/清水将夫/鈴木瑞穂 チャンネルNECOでは現在、鈴木清順監督の…

年一冊ペース

今回の大阪出張にあたり、新幹線車内読書用として携えたのは、都筑道夫さんの『退職刑事2』*1(創元推理文庫)だった。それぞれ40頁に満たない短篇が7篇、期待以上に面白く、すいすいと読めてしまったので、往復の新幹線で読み終えてしまった。 第1冊を読ん…

永井龍男署名・自筆俳句入本

古書さろん 天地@大阪阿倍野 ★『永井龍男全集 第四巻』(講談社) 函・帯、2000円。献呈署名、自筆俳句入。 はじめて大阪に出張に行った。大阪という町に宿泊するのも初体験。「モダン大阪」を満喫するまではいかなかったけれども*1、仕事を終えたあと、古…