2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

物真似で金子信雄を知る世代

「鈴木清順 日活時代全40作品連続放送」@チャンネルNECO(録画HDD) 「野獣の青春」(1963年、日活) 監督鈴木清順/原作大藪晴彦/宍戸錠/渡辺美佐子/川地民夫/小林昭二/金子信雄/信欣三/清水将夫/鈴木瑞穂 チャンネルNECOでは現在、鈴木清順監督の…

年一冊ペース

今回の大阪出張にあたり、新幹線車内読書用として携えたのは、都筑道夫さんの『退職刑事2』*1(創元推理文庫)だった。それぞれ40頁に満たない短篇が7篇、期待以上に面白く、すいすいと読めてしまったので、往復の新幹線で読み終えてしまった。 第1冊を読ん…

永井龍男署名・自筆俳句入本

古書さろん 天地@大阪阿倍野 ★『永井龍男全集 第四巻』(講談社) 函・帯、2000円。献呈署名、自筆俳句入。 はじめて大阪に出張に行った。大阪という町に宿泊するのも初体験。「モダン大阪」を満喫するまではいかなかったけれども*1、仕事を終えたあと、古…

金子信雄と柳永二郎の乱闘

日活名画館@チャンネルNECO(録画HDD) 「銀座の沙漠」(1958年、日活) 監督阿部豊/原作柴田錬三郎/長門裕之/芦川いづみ/南田洋子/柳永二郎/金子信雄/小高雄二/白木マリ/大坂志郎/西村晃/佐野淺夫 最近は気になる映画があればとりあえず録り溜…

「宮中某重大事件」の真相

先日世間は紀宮と黒田慶樹氏の結婚で沸き、またこのところは女系・第一子優先を答申した皇室典範改正論議が連日報道されている。現在の天皇や皇太子、さらに紀宮の結婚の場合、自分たちが選んだいわゆる「恋愛結婚」(に近い形態)だろうからだいぶわかりや…

川島雄三・高村倉太郎コンビの名作二本

「撮影監督・高村倉太郎」@新文芸坐 1954年に制作を再開した日活に松竹から移籍し、日活の主要作品の撮影監督として活躍した高村倉太郎さんが、ワイズ出版から著書『撮影監督 高村倉太郎』を出版したことを記念して、今日から池袋の新文芸坐で彼が撮影を担…

人間観察のアウトプット

中野翠さんがウェブで毎日連載していた人間観察日記『毎日一人はおもしろい人がいる』*1(講談社)は面白い本で、読後妻にも勧めたものだった。そのとき自分が本書を読んでどう感じたのだったか、あえてふりかえらないことにする(ちなみにこちら→“Ç‘O“ÇŒã20…

気宇壮大「生々流転」

「所蔵作品展 近代日本の美術」@東京国立近代美術館 今回もまた国立公文書館に仕事で行った帰り、金曜日の開館時間延長を利用して常設展を観た。先月観た常設展(→10/14条)と展示品はほぼ同じだが、そのとき書いたように、横山大観の長大な絵巻「生々流転…

汗と夕立(と脇役)

「監督 黒澤明の仕事」@日本映画専門チャンネル(録画HDD) 「野良犬」(1949年、東宝) 監督黒澤明/脚色菊島隆三/三船敏郎/志村喬/木村功/淡路恵子/三好栄子/河村黎吉/千石規子/岸輝子/東野英治郎/本間文子/飯田蝶子/菅井一郎/千秋実/清水…

これが噂のロード・ムービー

松竹110周年祭@シネスイッチ銀座 「有りがたうさん」(1936年、松竹) 監督清水宏/原作川端康成/上原謙/石山隆嗣/仲英之助/桑野通子/築地まゆみ/二葉かほる/河村黎吉/忍節子 小林信彦さんが「清水宏監督のロードムーヴィの秀作」(文春文庫『ぼく…

タイトルが気に入らぬ?

細谷正充編『松本清張初文庫化作品集1 失踪』*1(双葉文庫)を読み終えた。「初文庫化」という触れ込みで短篇集が編まれる作家は、いまどき松本清張くらいしかいないのではあるまいか。それだけ松本清張作品の大半は文庫で読むことができるということであろ…

人生の楽しみ見つけたり

CSの有料チャンネル“衛星劇場”では、「木下惠介の全貌」という特集を組み、毎月作品を放映しており、来月12月で終わる。その予告を観ていたら、来月は映画作品でなく、木下監督がテレビ出演したインタビュー番組やドキュメンタリーを流すらしい。高峰秀子も…

疑似単身赴任経験者の告白

「単身赴任」という言葉を和英辞典で探しても訳語が見つからない。つまり英語にはそうした概念がないわけである。単身赴任とは日本社会に特有の言葉であり、概念であり、「文化」なのである。 もとよりわが国においても通時代的なものではない。高度経済成長…

「おじさま」のためらいと迷い

泉麻人さんの文庫新刊『おじさまの法則』*1(光文社文庫)を読み終えた。本書は「〝スタイリッシュな中年向男性誌〟」(「あとがき」)の『BRIO』誌に連載された文章をまとめた、文庫オリジナルのエッセイ集である。 泉さんはわたしとほぼひと回り違っていて…

愉快に笑って心の掃除

「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第24弾 芦川いづみ」@ラピュタ阿佐ヶ谷 「あした晴れるか」(1960年、日活) 監督中平康/原作菊村到/石原裕次郎/芦川いづみ/中原早苗/杉山俊夫/渡辺美佐子/西村晃/東野英治郎/安部徹/殿山泰司/三島雅夫/清川玉枝/…

一日の途中にある「一杯」

仕事の帰り道、疲れ切った身体をひきずりながら生協書籍部に立ち寄った。ところがところが、店を出るときには足どりも軽く早く家に帰ろうと急ぎ足になっている。わずかの間に人の気分を一新させた原因は何か。ほかでもない、川本三郎さんの新著『旅先でビー…

再読を誘うダブり本

ブックオフ綾瀬駅前店 ★田中小実昌『ぼくのシネマ・グラフィティ』(新潮文庫) カバー、250円。ダブり。 ★戸板康二『六代目菊五郎』(講談社文庫) カバー、200円。ダブり。 ★山藤章二『山藤章二のブラック=アングル '83 '84』(新潮文庫) カバー、350円…

拾い読みの再発見

性格的に本は最初から最後まで読み切る、通読するというのが基本姿勢なのだが、拾い読みの魅力も捨てがたい。拾い読み、あるいは立ち読み(わたしは立ち読みで通読した経験はほとんどない)をしたときと、購入してじっくり腰を据えて読むときとは、その本に…

追悼根上淳

名画 the NIPPON@チャンネルNECO(録画HDD) 「娘の縁談」(1955年、大映) 監督木村恵吾/原作林房雄/南田洋子/若尾文子/菅原謙二/根上淳/北林谷栄/中村伸郎/清川玉枝/村田千栄子 先日一度放映されたのだが、放送事故で最後の30分ほどを観ることが…

古びない音楽入門書

9月の金町散策のおり古本屋で手に入れた芥川也寸志『私の音楽談義』*1(ちくま文庫、→9/4条)は、音楽に縁遠い生活を送ってはいるが、何かピンとくるものがあり購った本である。これが正解だった。自分の面白い本に対する勘が鈍っていないこともわかって大満…

哀れ三國・左・伴淳…

レンタルDVD 「飢餓海峡」(1964年、東映) 監督内田吐夢/原作水上勉/脚色鈴木尚之/三國連太郎/伴淳三郎/左幸子/高倉健/加藤嘉/三井弘次/沢村貞子 水上勉さんが亡くなったとき、代表作と言われている『飢餓海峡』を読みたい、それを原作として映画…

200分は長すぎる

レンタルDVD 「陽のあたる坂道」(1958年、日活) 監督田坂具隆/原作石坂洋次郎/石原裕次郎/北原三枝/芦川いづみ/川地民夫/小高雄二/千田是也/轟夕起子/山根寿子 関川夏央さんの『昭和が明るかった頃』を単行本と文庫本で二度読み(→10/29条)、も…

橋本治の強靱な論理

いま思えば90年代初頭の河出文庫の質の高さは目をみはるものがあった。澁澤龍彦・種村季弘二人の著作をはじめ、二人につながる中野美代子さんの本や、各国「怪談集」アンソロジーなどは、いまでもわたしの書棚に並んでいる。 だから、作者や作品のことをよく…

やわらかい方言

フジテレビ 「スウィングガールズ」(2004年、東宝) 監督矢口史靖/上野樹里/竹中直人/渡辺えり子/白石美帆/小日向文世/谷啓/桜むつ子 ストーリーは全然ひねっていなくて、そこが気持ちいい。やっぱり映画は最後に愉快にならなくちゃ。この映画であれ…

まぎらわしい書名

最寄駅南口の古本屋 ★赤瀬川隼『白球残映』(文春文庫) カバー、200円。また赤瀬川さんの野球小説が増えた。本書は直木賞受賞作らしい。ISBN:4167351080 ★小林信彦『イーストサイド・ワルツ』(新潮文庫) カバー、300円。手にとってめくり、目に入る文字を…

「東京少年」という特別な言葉

先日観た「東京五人男」で、古川緑波は、疎開していた一人息子のために食糧や履き物を恵んでもらうべく苦労していた。子どもたちが帰ってくるときには駅まで迎えに行っている。子どもたちは列車にすし詰めになって戻ってきて、戻ったあとも駅前の広場で責任…

赤瀬川隼の野球小説

大学堂書店@本郷三丁目 赤瀬川隼『深夜球場』(文春文庫) カバー・帯、200円。野球小説の短篇集。赤瀬川隼さんの野球小説をこつこつと集める。とりわけこの文庫版は解説が平出隆さんであることに惹かれた。ISBN:4167351056

二人称の可能性

重松清さんの連作長篇『きみの友だち』*1(新潮社)を読み終えた。 少し前に出た『その日のまえに』*2(文藝春秋、→8/15条)が、「王様のブランチ」の松田哲夫さんのコーナーで取り上げられ、(たぶん)絶賛されたのをきっかけに売れ出し、大重刷されたとい…

ボバ・フェット哀し

録画HDD 「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの逆襲」(2002年、20世紀フォックス映画) 監督George Lucas 低い評価しか聞こえてこなかったが、やはりスター・ウォーズは面白い。 エピソード2で印象に残ったのは、子供の頃のボバ・フェットだった。父の…

解説対談読みたさに

北村薫さんが編んだミステリ・アンソロジー『北村薫のミステリー館』*1(新潮文庫)を読み終えた。 先行する『謎のギャラリー』シリーズと同じく、巻末に北村さんと宮部みゆきさんの解説対談が付いている。『謎のギャラリー』シリーズ自体は3冊あって、それ…