2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

学魔高山宏から刺激を受ける

東京都立大学が石原都知事の肝いりで「首都大学東京」に再編されてゆく過程で、学内の不協和音が耳に入ってくるにつけ、もっとも気がかりだったのは、高山宏さんの去就だった。わたしにとって都立大といえば、英文学の高山宏さん、だったからである。 でもそ…

北村薫さんに直木賞を

直木賞候補作のなかに北村薫さんの作品を見つけるたび、「今度こそ」と期待し、発表の日にはいつもドキドキするのだが、受賞者が発表されると落胆してしまう。 このところそういうことが続いているなあと、北村さんの候補歴を調べてみた*1。下記のように、こ…

俳優・三島由紀夫

レンタルDVD 「からっ風野郎」(1960年、大映) 監督増村保造/脚本菊島隆三・安藤日出男/三島由紀夫/若尾文子/船越英二/志村喬/根上淳/川崎敬三/水谷良重/小野道子/山本礼三郎/神山繁/潮万太郎/浜村純/三津田健 TSUTAYAの会員更新期限が迫って…

ナンセンス横溝万歳

年をとってくると、食の好みが脂っこいものからあっさりしたものに変化する。もっともこの変化は食べ物だけに限らないようだ。読書の好みも似たような経過をたどっている。 たとえば横溝正史作品で言えば、現代に起きた殺人事件が実は20年前の殺人事件とつな…

「武蔵野」という文化

ひねくれて天の邪鬼な自分の性格をときどき恨むことがある。 東京で働くことが決まったとき、最初に悩んだのが住む場所だった。決まってから赴任するまで一ヶ月もなく、即断を迫られていたため、色々な町を回ってあれこれ悩む余裕がまったくなかった。 ひと…

都会的な喜劇の傑作

特集・逝ける映画人を偲んで2004-2006@東京国立近代美術館フィルムセンター 「街燈」(1957年、日活) 監督中平康/原作永井龍男/脚本八木保太郎/月丘夢路/岡田真澄/南田洋子/葉山良二/中原早苗/渡辺美佐子/草薙幸二郎/細川ちか子/山岡久乃/北林…

風俗描写をおさえた風俗小説

読んだときの感想にも書いたが、最相葉月さんの『星新一―一〇〇一話をつくった人』*1(新潮社、→5/4条)を読んで一番惹かれた星新一作品が、初めての新聞連載小説『気まぐれ指数』だった。 本作品は東京新聞に連載された。最相さんの本によれば、星新一は「…

忍びの歩き方

市川雷蔵時代劇全仕事@時代劇専門チャンネル(録画HDD) 「忍びの者」(1962年、大映京都) 監督山本薩夫/原作村山知義/脚本高岩肇/市川雷蔵/藤村志保/伊藤雄之助/岸田今日子/城健三朗/西村晃/加藤嘉/浦路洋子/藤原礼子/真城千都世 名匠山本薩…

驚異の編集力

大村彦次郎さんの新著『万太郎 松太郎 正太郎―東京生まれの文人たち』*1(筑摩書房)を読み終えた。 書名の三人は、言うまでもないが、久保田万太郎・川口松太郎・池波正太郎の三人。浅草生まれということで共通している。浅草の「三太郎」というわけか。本…

やっちゃ場の女と男

メモリーズ・オブ・若尾文子Part26@衛星劇場(録画HDD) 「やっちゃ場の女」(1962年、大映) 監督木村恵吾/脚本田口耕/若尾文子/藤巻潤/叶順子/宇津井健/根上淳/清川玉枝/村田知栄子/信欣三/水戸光子/潮万太郎 日活名画館・石原裕次郎シアター…

たどりついた結末

森達也さんの『下山事件シモヤマ・ケース』*1(新潮文庫)を読んで、下山事件への関心を再燃させてから半年も経過しているとは思わなかった。いまふりかえると、映画「黒い潮」を観てから同書を読み、下山総裁轢断現場(慰霊碑)を訪ねたのは今年2月のことな…