2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

映画と歌舞伎、奇蹟の融合

レンタルDVD 「楢山節考」(1958年、松竹) 監督木下恵介/原作深沢七郎/田中絹代/高橋貞二/望月優子/市川団子/小笠原優子/宮口精二/伊藤雄之助/東野英治郎/三津田健/織田政雄/西村晃 奇しくもつづけて木下恵介作品を観ることになった。先日ふら…

奇行の裏側

以前馬見塚達雄『「夕刊フジ」の挑戦―本音ジャーナリズムの誕生』*1(阪急コミュニケーションズ)を読んだとき(→2005/5/10条)、「興味深いエピソード」として気になったのが、近藤唯之さんの連載「プロ野球・伝説男伝」のことだった。馬見塚さんが編集局長…

むくむくと「七人の侍」

前回「七人の侍」フィギュアについて購買意欲が衰えたと書いたけれども、結局その後も懲りずに買い続けている。その後「○○○○○○△た」の旗指物を後ろに翻している平八(千秋実)の着色像につづき、菊千代(三船敏郎)と黒澤監督の着色像が当たってしまった(黒…

ゴールデンウィークにむけて

「七人の侍」フィギュアは、久蔵・五郎兵衛のモノクロ像に続けて、志村喬の勘兵衛の着色像が2体続けて当たってしまい、購買意欲が少し減退した感がある。ただこれにより「七人の侍」の映画に対する関心はいやがおうにも高まってきた。まもなくやってくるゴー…

気分転換のために

懐かし映画劇場@NHK-BS2(録画DVD) 「カルメン故郷に帰る」(1951年、松竹) 監督・脚本木下恵介/音楽木下忠司・黛敏郎/高峰秀子/小林トシ子/佐野周二/笠智衆/佐田啓二/井川邦子/望月美恵子(優子)/坂本武/見明凡太郎 気がくさくさするので、そ…

未完小説の誘惑

久世光彦さんが急逝されたあと、追悼に寄せて書かれた新聞記事か何かで、内田百間を主人公とし、百間の小説を自ら書いて「作中作」として織り込んだ作品を執筆中だったという話を知り、心の底からそれを読みたいと欲した。なにせ乱歩の小説以上に乱歩らしい…

都市の語り手

松浦寿輝さんの新著『散歩のあいまにこんなことを考えていた』*1(文藝春秋)を読み終えた。 本書はいわば「雑文集」で、ここ十数年の間に各雑誌・新聞に寄稿した短いエッセイや受賞の言葉、アンケートのたぐいがたくさん収められている。「断簡零墨趣味」「…

9冊目と10冊目のあいだ

先日講談社文芸文庫の新刊として、木山捷平『長春五馬路』*1が入った。『大陸の細道』と並ぶ木山の代表長篇と言っていいのだろう(カバー裏の紹介文には「中編」とあったが)。これで木山作品の文芸文庫入りはほぼ打ち止めということになるのだろうか。もと…

第81 「菊坂文庫」という古本屋

給料も入って懐が少し暖かくなったので、今日は朝起きたときから、そういうときにときどき食べに行く菊坂の洋食屋(ここについては、平成日和下駄第77でも書いた。→2005/9/30条)に行くことを決めていた。ランチメニューは何だろうとワクワクしながら店の前…

中年男は誰に反論するのか

目黒考二さんの新著『新・中年授業』*1(本の雑誌社)を読み終えた。 書名に「新」とある理由は、最初の一章「年下男のほうがいいのか?」に書かれてある。もともと『中年授業』と題した著書の続篇という意味合いがあるとのこと。『中年授業』は文庫に入るさ…

第80 『ちんちん電車』を歩く

獅子文六『ちんちん電車』*1(河出文庫)を読んで、獅子文六が伊東忠太の設計した建物が好きでなかったらしいと書いた(→4/14条)。とりわけ札の辻にあった浅野総一郎邸に対する批評は厳しいものがあった。 先日引用した部分に続いて、この浅野邸にまつわる…

小林信彦が絶賛する

「シナリオ作家 新藤兼人」@東京国立近代美術館フィルムセンター 「殺したのは誰だ」(1957年、日活) 監督中平康/脚本新藤兼人/撮影姫田真佐久/菅井一郎/山根寿子/殿山泰司/小林旭/西村晃/青山恭二/渡辺美佐子/清水将夫 91分の上映時間を退屈に…

ブックオフのオープン体験

拙宅から自転車で10分のところにブックオフがオープンした。足立加平インター店だ。環七と首都高が交差するあたりに位置し、もともとユニクロの店舗だった。環七を葛西方面に行くと、ユニクロは近くにもう一店舗あるし(こちらのほうがもっと拙宅に近い)、…

文六先生は忠太ぎらい

通勤電車本として読んでいた安藤鶴夫(文)金子桂三(写真)『寄席はるあき』*1(河出文庫)を行きで読み終えてしまったので、帰りの電車では、窮余の策でその日購入し鞄の中にあった獅子文六『ちんちん電車』*2(河出文庫)を読むことにした。 『寄席はるあ…

見過ごしたものは見つけられるか

先月水戸を訪れたときには(→3/19条)、偕楽園に咲き誇る梅と帰りの電車の中で呑んだビールの酔いでよっぽど気分がおおらかになっていたのだろうか、帰りに途中下車して立ち寄った柏の古本屋にて、財布の紐をゆるめていろいろな本を買ってしまった。 そのな…

久蔵獲得!

最近ゆっくり映画鑑賞する時間がとれない。ハードディスクに録った古い日本映画をひたすらDVDにコピーする毎日。「積ん読の山」ではなく、「積ん緑の山」も高くなりつつある。困ったものだ。 「映画」というカテゴリーなのに観た映画の感想ではないのだけれ…

損な性格

天の邪鬼な性格はどうにも直しようがないらしい。最初から自分が好きだったものが、あとで世間の流行になったら「ほら見ろ」と威張るくせに、世間の流行にあとから乗ることを潔しとしない。また、少し気にかかり関心を向けていたものが流行になってもいけな…

映画と名言

阿奈井文彦さんの新著『名画座時代―消えた映画館を探して』*1(岩波書店)がとうとう出たので、「待ってました」とばかり、さっそく読んだ。 本書はカタログハウスが出している通販雑誌『通販生活』の連載をまとめたものである。同誌は季刊ということもあり…

鳥肌が立つ本

2月に横手に出張したとき手に入れ(→2/18条)、この一冊だけですっかり気をよくした色川武大さんの短篇集『花のさかりは地下道で』*1(文春文庫)を我慢ならず読んでしまった。 繰り返し書いていることだが、わたしは色川さんの『うらおもて人生録』(新潮文…

音を大事にする人

サン=テグジュペリ『星の王子さま』の翻訳で知られる仏文学者内藤濯の評伝、内藤初穂『星の王子の影とかたちと』*1(筑摩書房)を読み終えた。著者の内藤初穂さんは長男にあたる。 内藤濯の「濯」は「あろう」と読む。『星の王子さま』を読んだことがなく、…