2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

仕事と趣味

館蔵品展「奥絵師・木挽町狩野家」@板橋区立美術館 「趣味と仕事(食べていくための職業)が一致する人はしあわせだ」とよく言われるが、わたしはそれに同意しかねる。 以下はあくまでわたし個人の例にすぎないことをおことわりしておく。たとえばわたしは…

ガード下の発見

地方都市から上京してまず驚くのが、異常に発達している鉄道網である。とりわけ地下鉄。ある路線から別の路線へ乗り換えるという“高等技術”を使うことに尻込みして、東京駅の地下道を使って大手町駅まで歩いていったことがあった。あれは何線に乗ろうとした…

時間感覚の不思議

所蔵作品展「近代日本の美術」@東京国立近代美術館 先週金曜夜のブリヂストン美術館に味をしめて、また金曜夜に美術館に行く。ブリヂストン美術館は京橋にあるが、今度は竹橋。東京国立近代美術館である。実はこの美術館もブリヂストン創業者の石橋正二郎氏…

アンリ・ルソーの世界へ

先日千葉市美術館に曾我蕭白展を観に行った帰り、妻と展覧会の会場に座っている監視員の人の仕事について雑談になった。 ―あの人たちはただ座って監視するだけが仕事なのか。 ―そうではなかろう。何か質問されたときには答えなければならないだろうから。 ―…

本屋大賞との接点

昨年の年末、書友の同僚とこの一年に読んだ本のベスト談義をしたとき、書友があげた本が、三浦しをんさんの『舟を編む』*1(光文社)だった。辞書編纂の話であるということで少し心が動いたはずだけれど、結局そこから一歩踏み出さないまま年を越し、桜の季…

花押変幻自在

蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち@千葉市美術館 子供のサッカー練習の合間に、千葉市美術館で開催中の曾我蕭白展を妻と観に行く。同僚に招待券を恵んでいただいた。感謝申し上げます。行く前に、辻惟雄さんの『奇想の系譜』*1(ちくま学芸文庫)にて…

金曜日は美術館へ

あなたに見せたい絵があります。―ブリヂストン美術館開館60周年記念@ブリヂストン美術館 仕事帰りにブリヂストン美術館へ行き、開催中の「あなたに見せたい絵があります。」展を観る。金曜は20時まで開いている。以前岡鹿之助展を観に訪れたときも金曜だっ…

不思議な三角関係

よみがえる日本映画vol.4[大映篇]@東京国立近代美術館フィルムセンター 「踊子」(1957年、大映東京) 監督清水宏/原作永井荷風/脚本田中澄江/京マチ子/淡島千景/船越英二/田中春男 荷風原作ということで興味があり、観に行ってみた。原作は戦時中…

日記の裏側

拙著『記憶の歴史学 史料に見る戦国』*1(講談社選書メチエ)では、「日記に書かれなかったこと」をめぐって、それを別の視点から明らかにできる証言を取り上げ、考えてみた。 具体的に触れたのは、『古川ロッパ昭和日記』であった。正岡容の通夜の席上、ロ…

第100 あといくたびぞ谷中の桜

朝早起きして身支度も早くととのったので、子どもたちを待たずに出かけることにした。陽気も良いから、もう一度谷中墓地を通って出勤しようという算段だ。 先週木曜(5日)に谷中墓地を通った。そのとき桜は満開まであとひと息といった状態だった。最近谷中…

『わが荷風』に影響されて

野口冨士男さんの『わが荷風』*1(岩波現代文庫)を読み終えた。講談社文芸文庫版が出たときに読んで以来(→2002/12/17条)、9年半ぶりの再読である。やはり面白い。 初読のときに書いた感想はわれながら上出来だったとあとあとまで思っていて、その記憶も強…

納豆定食談義

川本三郎さんの『君のいない食卓』*1(新潮社)を読み終えた。昨年11月に出たときすぐ買ってはいたのだけれど、これに先行する“亡妻記”(川本さんご自身『君のいない食卓』のあとがきにてそう称しているので、失礼ではないだろう)『いまも、君を想う』*2(…

ふたつの写真展からさんま坂へ

幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界@東京都写真美術館 生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー@東京都写真美術館 「幻のモダニスト」という名前に惹かれ、観に行こうと思っていたところ、はからずもほぼ同時期にロベール・ドアノー展も開催されるという…