2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

名画が同時代にあった頃

[復刻版]銀座並木座ウィークリー編集委員会編『[復刻版]銀座並木座ウィークリー』*1(三交社)を読み終えた。 12日に丸善丸の内店で手に入れ、その日に川本三郎さんのサインを頂戴してから(→11/12条)、毎日ナイトキャップ代わりに枕元で読み、また、家…

別腹とは心で食べることなり

野村麻里編『作家の別腹―文豪の愛した東京・あの味』*1(知恵の森文庫)を読み終えた。 世の中にグルメ、グルマンをテーマにした食のアンソロジー本は数あれど、本書がユニークなのは、具体的な「東京にある店」の食べ物を取り上げた文章を選び、もしその店…

小林桂樹八十四歳の賀

演技者小林桂樹映画祭@新文芸坐 「めし」(1951年、東宝)※三度目 監督成瀬巳喜男/原作林芙美子/脚本田中澄江・井出俊郎/原節子/上原謙/島崎雪子/杉村春子/小林桂樹/杉葉子/二本柳寛/浦辺粂子/大泉滉/花井蘭子/滝花久子/中北千枝子/山村聰/…

「若天王」に泣かされる

吉例顔見世大歌舞伎・夜の部@歌舞伎座 宮島のだんまり 歌舞伎を見はじめた当初、この「だんまり」という芝居がよく理解できなかった。合理的解釈しようという余計な「理性」が、この「だんまり」にせよ、千本桜の「すし屋」にせよ、理解を阻むのである。 暗…

永久欠番が意味するもの

スポーツする映画たち@シネマヴェーラ渋谷 「不滅の熱球」(1955年、東宝) 監督鈴木英夫/原作鈴木惣太郎/脚本菊島隆三/池部良/司葉子/笠智衆/千秋実/清水将夫/滝花久子/藤原釜足/土屋嘉男/千葉一郎 池部さんの著書『21人の僕』*1(文化出版社)…

頭の中で空回りする文章

田中小実昌さんの文庫新刊『新編 かぶりつき人生』*1(河出文庫)を読み終えた。 カバー裏の紹介文や、井家上隆幸さんの解説によれば、何でも本書は小実昌さんの「幻の処女作」であり、長く入手困難で古書価も高かったのだそうだ。 本文庫版に「新編」と付い…

社会派と思いきや…

水上勉さんは、社会派推理小説の雄として、一時期松本清張と並び称された。その後創作活動の重心はミステリから離れ独自の世界を切り開いたことは周知のとおりである。松本清張作品が、現代的関心からなお色褪せない価値を有しているように、水上勉作品もま…

川本さんの講演を聴く喜び

『ミステリと東京』刊行記念 川本三郎さんトーク&サイン会@丸善・丸の内本店 熱が出て日曜日一日寝込み、明けて月曜日になると、熱こそ下がったものの、だるさは取れない。午前中そのまま横になって静養し、ようやく昼から仕事に復帰することができた。そ…

歴史と星空のコラボレーション

特別展「関東戦乱―戦国を駆け抜けた葛西城―」@葛飾区郷土と天文の博物館 暖かい陽気の関西出張から戻ったその日の夕方、長男を連れて冷たい時雨のなか自転車で博物館に向かった。 なぜそこまでして葛飾区郷土と天文の博物館までおもむいたかと言えば、これ…

たまには違うこともある

日活名画館・石原裕次郎シアター@チャンネルNECO(録画HDD) 「今日に生きる」(1959年、日活) 監督舛田利雄/脚本山崎巌・江崎実生/石原裕次郎/二谷英明/北原三枝/南田洋子/宍戸錠/江木俊夫/武藤章生/金子信雄/高原駿雄/清水将夫/高野由美 あ…

植草甚一の雑食作法

「植草甚一 マイ・フェイヴァリット・シングス」@世田谷文学館

川瀬巴水の版画技法

特別展「川瀬巴水 旅情詩人と呼ばれた版画絵師―没後50年―」@大田区立郷土博物館

第93 東京西南部を南北に動く

職場にあった「東京文化財ウィーク2007」のガイドブックを眺めていたら、惹かれるイベントが二つあった。そこでこの二つを軸に一日の散策プランを組み立てる。 まず一箇所目は、大田区立郷土博物館で開催されている特別展「川瀬巴水 旅情詩人と呼ばれた版画…

鹿島式発想法の原点

鹿島茂さんは丸谷才一著『思考のレッスン』*1(文春文庫)の書評「ものを考えることは「最高の遊び」」(『鹿島茂の書評大全 和物篇』*2所収)のなかで、丸谷さんの発想法を紹介している。 それによれば、「不思議だなあ」という気持ちから発して「いかに『…

洲之内本は最後の砦

昨夜神保町へ出る所用があったので、まず神保町シアターに立ち寄り、特集上映「映画の昭和雑貨店2」に寄せて編者川本三郎さんが書いた小冊子「卓袱台のある暮しから明日を夢見ていた頃」をもらってきた。 そのあと東京堂書店に向かう。一冊購入。これはいず…

1960年の表参道

メモリーズ・オブ・若尾文子Part27@衛星劇場(録画HDD) 「勝利と敗北」(1960年、大映) 監督・脚本井上梅次/脚本須崎勝弥/山村聰/川口浩/若尾文子/本郷功次郎/野添ひとみ/三田村元/新珠三千代/船越英二/安部徹/高松英郎/友田輝/見明凡太朗/…