歌舞伎

丑年の年賀状には

初代松本白鸚二十七回忌追善二月大歌舞伎・昼の部@歌舞伎座(幕見席) 菅原伝授手習鑑 車引 今日の目的は吉右衛門の「関の扉」なのだが、混雑することを予想して、ひとつ前から観ることにした。幕見料金としては、一番最初の「小野道風青柳硯」と込みだけれ…

年の瀬や水の流れと人の身は

十二月歌舞伎公演@国立劇場 清水一角 松浦の太鼓 忠臣蔵外伝とも言うべき三本(上記二本に加え、宇野信夫作「堀部彌兵衛」)を組むというユニークな企画。そのうえ吉右衛門が座頭で大好きな「松浦の太鼓」もあるとなれば、この公演情報を知ったときかならず…

型の魅力

十二月大歌舞伎・昼の部@歌舞伎座 鎌倉三代記 絹川村閑居の場 年に一、二度ある妻との観劇。一人のときは筋書を買うことがなくなったが、一緒のときは懐を直接痛めないこともあって、購入する。筋書を買った時熱心に読むのは、出演役者のインタビューと上演…

「若天王」に泣かされる

吉例顔見世大歌舞伎・夜の部@歌舞伎座 宮島のだんまり 歌舞伎を見はじめた当初、この「だんまり」という芝居がよく理解できなかった。合理的解釈しようという余計な「理性」が、この「だんまり」にせよ、千本桜の「すし屋」にせよ、理解を阻むのである。 暗…

阿古屋と清正

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部 壇浦兜軍記 阿古屋 身替座禅 二條城の清正 玉三郎当たり役の「阿古屋」はこれが三度目。今月は吉右衛門主宰の「秀山祭」なのに、吉右衛門が先代から受け継ぎいまや屈指の当たり芸となっている「熊谷陣屋」の出る昼の部を観ずして…

福助の愛敬

歌舞伎鑑賞教室@国立劇場 新版歌祭文 野崎村 野崎村の百姓久作の娘お光(福助)は、奉公先の商家から帰っていた養子の久松(松江)と近々祝言をあげるということで、そわそわしながら暮らしている。鏡の前に座って髪の毛を直しているとき、眉を剃り落とした…

幸四郎・吉右衛門の名調子に酔う

六月大歌舞伎・夜の部(歌舞伎座・幕見席) 盲長屋梅加賀鳶 千秋楽にようやく間に合った。仕事帰り歌舞伎座に駆けつける。幕見で観るのは久しぶり。 幸四郎・吉右衛門兄弟の共演が昨年秋あたりからとみに多くなってきた。それも「籠釣瓶」の次郎左衛門と立花…

吉右衛門の法界坊

新橋演舞場五月大歌舞伎・夜の部(三階A席) 妹背山婦女庭訓 三笠山御殿の場 隅田川続俤 法界坊

二代目錦之助登場

四月大歌舞伎・夜の部 源平布引滝 実盛物語 ひょっとしたら義太夫狂言のなかでもっとも好きな演目かもしれない。爽やかな齋藤実盛(仁左衛門)と、未来を予言するかのような人間関係、切り離された小万の片手を、片手のない小万の死体に接いでみたら一瞬だけ…

観る一日 夜は歌舞伎

二月大歌舞伎・夜の部 仮名手本忠臣蔵 五段目/六段目/七段目/十一段目 歌舞伎の感想が映画のそれにくらべあまりに投げやりであるという至極もっともで手厳しい指摘(笑)をある方から受け、さて夜の部はまじめに観なければと力を入れる。池部良トークショ…

最初と最後を楽しむ

二月大歌舞伎・昼の部 仮名手本忠臣蔵 大序/三段目/四段目/浄瑠璃道行旅路の花聟 最近めっきり歌舞伎を観る機会が少なくなってきたことに加え、せっかく観に行ってもつい眠ってしまうことが多く、いい観客とは言えない。今回も三段目・四段目あたりに眠っ…

濃い義太夫狂言揃い

秀山祭九月大歌舞伎・昼の部 先日観た夜の部にくらべ、この昼の部は義太夫狂言揃いで、この手の演目を得意とした初代吉右衛門を記念する公演であるものよと感じ入る。最後まで観通すと、さすがにお腹いっぱいになるというか、胃にもたれるというか。義太夫狂…

夢の兄弟共演

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部 歌舞伎座で歌舞伎を観るのは、五月團菊祭(傾城反魂香・保名/藤娘・黒手組曲輪達引)以来。三ヶ月も間をあけてしまった。歌舞伎自体は、七月に国立劇場の歌舞伎鑑賞教室で梅玉・芝雀の「毛谷村」を観ているので、さぼっているわ…