2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

金曜日の夜は映画を

“松竹三羽烏”華麗なる映画人生@神保町シアター 「結婚のすべて」(1958年、東宝) 監督岡本喜八/脚本白坂依志夫/雪村いづみ/新珠三千代/上原謙/三橋達也/団令子/山田真二/仲代達矢/小川虎之助/堺左千夫/加藤春哉/塩沢登代路/藤木悠/田崎潤/…

ファイナル平野政吉美術館

藤田嗣治の祈り 平野政吉の夢 まだ雪の残る3月に秋田を訪れたとき、ツイッターにて、平野政吉美術館にて藤田嗣治の「秋田の行事」を観るのもこれで最後だろうと書いた。ところがはからずも最後の最後にまた訪れることができたのは幸いだった。6月30日いっぱ…

殺害現場だけご当地

鮎川哲也さんの長篇『宛先不明』*1(光文社文庫)を新刊で買っていたにもかかわらず、ブックオフで先日うっかりダブりで買ってしまった。文庫に入ったのは2010年7月だから約3年前。そのくらい経てば忘れるのもやむを得ないかもしれないけれど、そもそも買っ…

連句による百間作品

東雅夫編『百間怪異小品集 百鬼園百物語』*1(平凡社ライブラリー)を読み終えた。 内田百間はアンソロジーに適合的な作家である。まず一篇一篇が長くない。短いながらもまとまっている。幻想的な小品からユーモアに満ちた随筆、都会の隙間にひそむ妖異から…

府中には長谷川利行がある

近代洋画にみる夢 河野保雄コレクションの全貌@府中市美術館 土日に出張があった代休を利用して、府中市美術館に行く。前回のデルヴォー展のおりは車で行き、渋滞で往復に苦労したので、今回は京王線とバスを使う。最近美術館の展覧会情報はネット経由で知…

風の吹きまわし

ナサニエル・ウェスト(丸谷才一訳)『孤独な娘』*1(岩波文庫)を読み終えた。 翻訳小説はとんと弱く、その第一の理由は外国人の名前がおぼえられない。だからほとんど読まない。それでも若い頃は何とかカタカナ書きになっている人の名前も頭に入ってきた。…

アリバイ崩しのむずかしさ

鮎川哲也さんの『憎悪の化石』*1(角川文庫)を読み終えた。本書は、『黒い白鳥』*2(創元推理文庫)とともに日本探偵作家クラブ賞を受賞したということで、その意味ではこの二作がおなじ年(1959年)に書かれたのは奇跡的である。 容疑者のアリバイを自らの…

絶望が前に進む動機になるとき

溝口健二ふたたび@シネマヴェーラ渋谷 「ある大阪の女」(1962年、宝塚映画) 監督・脚本須川栄三/脚本依田義賢/原作溝口健二/団令子/藤原釜足/川崎敬三/勝呂誉/小沢栄太郎/山茶花究/初風諄/万代峰子/原知佐子

明るい昭和三十年代

結局先の週末の外出では、読もうと思っていた堀江敏幸さんの『象が踏んでも 回送電車4』を持っていくにはおよばなかった。電車本として読んでいた鮎川哲也さんの『憎悪の化石』*1が途中であり、そのうえ出かける前日に購入した関川夏央さんの『昭和三十年代…