2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

藤田嗣治伝というレイヤー

藤田嗣治といえば、奇抜な扮装や「奇行」がまず真っ先にあげられ、それらによってさまざまな伝説が生み出され、語られている。単身パリにわたって一躍有名となり、日本に凱旋して戦争のときは従軍画家として協力、戦後はふたたびフランスに戻り、フランス国…

「怪演」も考えもの

美女と探偵〜日本ミステリ映画の世界@神保町シアター 「四万人の目撃者」(1960年、松竹大船) 監督堀内真直/原作有馬頼義/脚本高岩肇/佐田啓二/伊藤雄之助/岡田茉莉子/杉浦直樹/安井昌二/三井弘次/幾野道子/西沢道夫/浅茅しのぶ 「四万人の目撃…

和田誠さんと俳句

和田誠さんの新著『五・七・五交遊録』*1(白水社)を読み終えた。俳句をとおして語る半自伝、俳句をとおしての交遊を綴る、いつものように淡々として暖かみにあふれるエッセイ集だった。「話の特集句会」に集うデザイナー、イラストレーター仲間、作家、編…

藤森照信の刺激

先の週末、鹿島茂さんの『パリの異邦人』や、小谷野敦さんの『猿之助三代』をたてつづけに読み、読書のカンのようなものが戻ってきたという実感がわいてきた。もちろんそうさせる本あればこそだったからだが、それならこれまでだって継続的にいい本と出会い…

濹東綺譚の新聞連載原稿

開館80周年記念特別展―新収稀覯本を中心に―@天理ギャラリー 同僚からこの展覧会のことを教わった。そもそも天理ギャラリーという天理図書館の東京出張所のようなところがあることすら知らなかった。神田錦町にある「東京天理ビル」の9階にある(http://www.…

澤瀉屋の歴史

わたしが歌舞伎をはじめて観たのは、1998年7月、歌舞伎座においてであった。そのころ毎年7月は猿之助率いる澤瀉屋一門による「猿之助大歌舞伎」の月であり、このときは「義経千本桜」の昼夜通しが出されていた*1。 東京に住みはじめたのが98年4月なので、ま…

パリ憧憬

「Sound Massage」というiphoneアプリ(もっとも、実際使うのはipod touchだが)を愛用(愛聴)している。癒し系の音を聴くためのアプリであり、たとえば「雨の降る池」「春の丘」「田舎の夏の夜」「海の余韻」や、鳥の囀り、蛙の鳴き声のような自然を素材に…

洋画家たちにとって東京とは

絵描きにとってパリという都市が特別な意味を持っているように、日本人の洋画家にとって、東京という都市もまた重要な空間であった。その人が生かされるか殺されるかは一に東京との相性の良し悪しに左右される。近藤祐さんの『洋画家たちの東京』*1(彩流社…

煙草と映画

@MOVIX亀有 「マイ・バック・ページ」(2011年、映画「マイ・バック・ページ」製作委員会) 監督山下敦弘/原作川本三郎/脚本向井康介/妻夫木聡/松山ケンイチ/忽那汐里/石橋杏奈/韓英恵/中村蒼/長塚圭史/山内圭哉/古舘寛治/あがた森魚/三浦友和…