2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

中原早苗という女優

映画夫婦渡世 中原早苗&深作欣二@新文芸坐 「くの一忍法」(1964年、東映京都) 監督・脚本中島貞夫/原作山田風太郎/脚本倉本聰/野川由美子/中原早苗/三島ゆり子/芳村真理/大木実/待田京介/小沢昭一/曾我廼家明蝶/木暮実千代/山城新伍 「怪談…

単行本も文庫本も本である

単行本が何年かたって文庫化される。といっても、文庫化によって二度目の「本生」をあたえられる本はごくひと握りの少数派で、こういうレールに乗ることができる本は恵まれた立場にあることは間違いない。 享受者たるわたしたちにとって、単行本の文庫化とい…

佐藤春夫の深謀遠慮

佐藤春夫『この三つのもの』(講談社文芸文庫)を読み終えた。 谷崎の長篇「神と人との間」を読み終え、「さあ、次は佐藤春夫だ」と勢い込んでから二週間以上過ぎてしまった。すぐに読み始めたのだが、行き帰りの電車で読んでいたせいもあって、思わぬ時間を…

第95 元八まんふたたび

川本三郎さんの代表作『荷風と東京』がとうとう文庫化された。岩波現代文庫から二分冊で出た。 このうち上巻収録の第十八章「「偶然のよろこびは期待した喜びにまさる」―元八まんへの道」を再読していたら、むずむずと散策欲が湧いてきた。ちょうど砂町辺に…

谷崎熱が冷めぬうち

『細雪』をはじめて読んで、ひさしぶりに谷崎潤一郎の作品世界を堪能した。うまく説明できないが、やはりわたしは、谷崎流の“筋のある”小説が好みであるらしい。 せっかく谷崎作品に心動かされているのだから、この勢いで読んでしまおうと、次に手に取ったの…