2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

わが町に図書館がやってきた

子どものころ住んでいたところは、県庁所在地の都市とはいっても、川を越えれば隣の市という北のはずれにあって、中心部に出るまでバスで30分以上かかった。市立図書館は駅や市役所などがある繁華街からさらに少し離れた城下町のはずれにあった。近くにはこ…

歴史を拒むことも

斎藤明美さんの新著『高峰秀子の流儀』(文藝春秋)を読み終えて、深いため息をついた。この本で書かれた高峰秀子さんのような人間に憧れる。ああいう人間になりたいけれど、本当にそうなったときの自分が想像できない。いろいろ複雑な思いが頭のなかを駆け…

成瀬映画の高峰秀子にひたる

女優・高峰秀子@神保町シアター 「妻の心」(1956年、東宝) ※二度目 監督成瀬巳喜男/脚本井出俊郎/美術中古智/高峰秀子/小林桂樹/三船敏郎/三好栄子/千秋実/中北千枝子/杉葉子/沢村貞子/加東大介/花井蘭子/田中春男/根岸明美/北川町子/塩…

恐ろしい女優若尾文子

昭和の銀幕に輝くヒロイン第51弾 若尾文子@ラピュタ阿佐ヶ谷 「爛」(1962年、大映東京) 監督増村保造/原作徳田秋声/脚本新藤兼人/若尾文子/田宮二郎/水谷良重/船越英二/丹阿弥谷津子/弓恵子/藤原礼子/倉田マユミ/仲村隆/浜村純/殿山泰司/中…

編者と読者の相互作用

おととしのことだったか、朝日カルチャーセンターで話をしないかというお誘いをいただいた。およそ人前で話すことは大の苦手であったわたしだが、ここ何年か、兼任講師として一年の後半の週二回、ふたつの大学で一コマずつ話をしているうちに度胸がついてき…

通史礼賛

趣味嗜好が偏向的でかつマニアックだからか、ある分野のことを包括的に叙述する概説書のたぐいはあまり好まなかった。たとえば歴史でいえば「通史」がそれにあたる。 子どものときから通史的な、あるいは教科書的な広く浅くという知識提供に物足りなさをおぼ…

「棗の木」に感謝

内田百間の随筆を読む。たしかにこのことも現実から逃れるための入口であるに違いない。第七文集の『随筆新雨』を読み終えた。 百鬼園先生の文集については、旺文社文庫版を古いほうから読んでいくことをつづけている。いま調べると、第五文集『凸凹道』のこ…

閑雅になりたい

昨年自分にしては大きな仕事をひとつやり遂げたのだが、事態はいっこうに改善の気配がみられない。あいかわらずせわしなく、年末年始もゆっくり骨休めどころではなかった。何でも引き受ける自分が悪いのだが、今月それぞれ別のテーマで研究報告を三つこなさ…