2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

澁澤さんの家のほうへ

企画展 澁澤龍彦 カマクラノ日々@鎌倉文学館

佐伯祐三と佐野繁次郎

パリのエスプリ 佐伯祐三と佐野繁次郎展@神奈川県立近代美術館・葉山館

第4 ちょっと贅沢に鎌倉・葉山

埼玉県立近代美術館で「澁澤龍彦―幻想美術館」展を観に行き、ちょうどその日から鎌倉文学館で「澁澤龍彦 カマクラノ日々」という展覧会が始まることを知った。北鎌倉住まいだった澁澤龍彦、いつの日か鎌倉文学館で取り上げられるだろうと期待していたが(も…

女性の自立と男

日本映画名作劇場@衛星劇場(録画DVD) 「薔薇合戦」(1950年、松竹京都・映画芸術協会) 監督成瀬巳喜男/原作丹羽文雄/脚本西亀元貞/三宅邦子/若山セツ子/桂木洋子/鶴田浩二/大坂志郎/安部徹/永田光男/進藤英太郎/千石規子/仁科周芳/若杉曜子…

澁澤龍彦の評伝的展覧会

澁澤龍彦―幻想美術館展@埼玉県立近代美術館 この展覧会は澁澤龍彦没後20年を記念して企画されたものだという。あれから20年。わたしが澁澤龍彦という名前を知ってから20年ということになる。早いものだ。 これまでも澁澤にまつわる展覧会はいくつかあったけ…

印象的な自画像三作

生誕100年 靉光展@東京国立近代美術館 金曜日は夜20時まで開いている。仕事を無理矢理片づけて竹橋に向かう。 靉光の作品はそれほど多くないそうだが、そのなかで130点ばかりを集めた大回顧展となった。これまで自分が書いた文章を検索すると、この東京国立…

あまりに演劇的な

2月にフィルムセンターで田崎潤主演の「下郎の首」を観たとき(→2/23条)、タイミングよく氏家幹人さんの新著『かたき討ち―復讐の作法』*1(中公新書)が出たので、買っておいた。 何年か前までは氏家さんの本が出ると買って読んだものだが、最近ご無沙汰し…

追悼 桂木洋子

24時間まるごと「力道山」@日本映画専門チャンネル(録画DVD) 「やがて青空」(1955年、東京映画・東宝) 監督小田基義/原作北条誠/脚本笠原良三/桂木洋子/小林桂樹/太刀川洋一/斎藤達雄/沢村貞子/松島トモ子/浪花千栄子/白鳩真弓/清水谷洋子/…

お城好きな日本人

「城下町」に生まれ育つと、いやおうなくその町にある「お城」にさまざまな思い出がまつわりつくことになるのだろう。江戸城のように大きすぎて関わり方が多様になるお城はともかく、地方都市においてお城は町の中心、シンボルであって、公園化されている場…

二代目錦之助登場

四月大歌舞伎・夜の部 源平布引滝 実盛物語 ひょっとしたら義太夫狂言のなかでもっとも好きな演目かもしれない。爽やかな齋藤実盛(仁左衛門)と、未来を予言するかのような人間関係、切り離された小万の片手を、片手のない小万の死体に接いでみたら一瞬だけ…

サラリーマン映画の嚆矢

東宝サラリーマン喜劇の原点@日本映画専門チャンネル(録画DVD) 「ホープさん サラリーマン虎の巻」(1951年、東宝) 監督・脚本山本嘉次郎/原作源氏鶏太/脚本井手俊郎/小林桂樹/高千穂ひづる/東野英治郎/志村喬/花柳小菊/三好栄子/沢村貞子/関…

「文部省特選俳優」の魅力

このあいだ池袋の新文芸坐に佐藤勝特集を観に行ったとき、この特集のきっかけとなった本、小林淳さんの『佐藤勝 銀幕の交響楽』*1(ワイズ出版)を購入したことは書いた(→4/12条)。3800円という高価な本であった。 ほとんど衝動的に買うことを決めて、お金…

活力がわいてくる映画

追悼特集映画監督今村昌平と黒木和雄@東京国立近代美術館フィルムセンター 「にあんちゃん」(1959年、日活) 監督・脚本今村昌平/脚本池田一朗/長門裕之/吉行和子/沖村武/前田暁子/松尾嘉代/北林谷栄/小沢昭一/殿山泰司/西村晃/芦田伸介/穂積…

自己規定あるいは弁明の書

中野翠さんの新著『この世には二種類の人間がいる』*1(文藝春秋)を読み終えた。中野さんらしい鋭い人間観察と批評に満ちた、楽しい本だった。 本書の目次には、「それは○○○な人と△△△な人だ」というタイトルがずらり50並んでいる。世の中の人間を「○○○な人…

小説の地形学

前田愛さんの『幻景の街―文学の都市を歩く』*1(岩波現代文庫)を読み終えた。 昨年11月、12月に『幻景の明治』と連続して文庫化された前田さんの著作、いずれも元版を持っていたのだが、未読なので文庫化を機会に読もうという思いと、解説が両方とも川本三…

音楽で映画を観る

映画音楽家・佐藤勝と七人の名匠@新文芸坐 「狂った果実」(1956年、日活) 監督中平康/原作・脚本石原慎太郎/音楽佐藤勝・武満徹/石原裕次郎/津川雅彦/北原三枝/岡田真澄/深見泰三/藤代鮎子/東谷暎子 「紅の翼」(1958年、日活) ※三度目 監督中…

時代と心中した三島由紀夫

椎根和さんの『平凡パンチと三島由紀夫』*1(新潮社)を読み終えた。 著者の椎根さんは平凡出版(現マガジンハウス)の元編集者で、『平凡パンチ』『anan』の編集部員を経て、『Hanako』の創刊編集長も務めた方だというから、その世界では有名な人なのだろう…

ウルトラの母と緑のおばさん

相変わらず連載物を追いかけて読むことが苦手である。せっかくお金を出して毎日購読している新聞に掲載された文章についても、単発のものであれば読むには読むが、連載となると字面を眺めただけで、あとは本にまとまってからでいいやと思ってしまう。もった…

「私の三冊」の思い出

大学生協書籍部のレジ近くに、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊が並んでいたのが目に入った。岩波文庫の創刊80年を記念しての企画本『私の三冊』である。このタイトルを目にしてから数秒後、心のなかで「ええっ」と驚き、思わず懐旧の情にひたってしまった…