平成阿房列車

第11 浅野川の濁流から王道へ

先日出張ではじめて金沢の町を訪れた。これまで不思議と訪れたことがなかった。一度特急で通り過ぎたことがあるだけである。仕事柄「加賀百万石」の町にいつかは訪れることになるだろうと思ってはいたが、ようやくそれが叶った。 前泊だったため、金沢の町を…

第10 山と川のある町ふたたび

先月出張で熊本をおとずれた。当地でお世話になる方々と夜に飲む約束をして待ち合わせ場所になったのが、熊本で有名な古書店舒文堂河島書店だった。いや、正確にいえば、当地の方と連絡を取った同僚についていったらそこが河島書店で、先方もそこにいらした…

第9 百鬼園先生の古里

わたしにとって岡山とは、横溝正史の岡山であり、内田百間の岡山である。いままで新幹線で通過したことしかなかったが(といっても往復一度きりだが)、初めて岡山の町に足を踏み入れることができた。 今回は岡山市内に泊まったので、“横溝正史の岡山”は次回…

第8 山と川のある町

先の週末仕事で横手を訪れた。東京から訪れた人間としての率直な感想は「暑いけど涼しい」。変な文章だが、横手は盆地だから暑いけれど、緑に囲まれての暑さなら許せてしまうという意味。夜はいくぶんか涼しいのも救われる。 当初の最終目標だった本をこの三…

第7 富山のまぼろし

仕事で富山市に出張した。同じ日本海側の県に生まれ育った者なのに、失礼ながら最初は、東京から飛行機で行かねばならないだろうと思い込んでいた。ところが上越新幹線と特急を乗り継いで3時間30分弱で行くことができるのである。 わたしの乗ったルートは、…

第6 幻景としての笛吹川

先の週末、一泊二日で石和温泉に行ってきた。 と言うといかにも聞こえはいいが、これが自発的に余暇を利用して湯治に赴いたのならまだしも、当地で開催された学術的シンポジウムのパネラーとして参加したという受け身の動機だった。 人前で話すことが苦手な…

第5 京都日帰り若冲展

相国寺承天閣美術館で若冲展が開催されているということを知ったのはつい先日のこと。滅多にない展示であるということで観逃したくなかったが、すでに会期末が近く、美術館のサイトを見ると週末は大行列になっているという。 仕事が立て込んでいるので、貴重…

第4 ちょっと贅沢に鎌倉・葉山

埼玉県立近代美術館で「澁澤龍彦―幻想美術館」展を観に行き、ちょうどその日から鎌倉文学館で「澁澤龍彦 カマクラノ日々」という展覧会が始まることを知った。北鎌倉住まいだった澁澤龍彦、いつの日か鎌倉文学館で取り上げられるだろうと期待していたが(も…

第3 鉄ちゃんの楽園

昨日土曜日は、所用のため妻が日帰りで仙台に行ってきた。二人の子供の相手をするということで、長男は自分の自転車で、わたしは妻の座席付ママチャリを借り次男をうしろに乗せて、四つ木までサイクリングに出かける。 地図を携帯しなかったため道に迷い、そ…