2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ヌーベルヴァーグからの距離

品田雄吉のこれだけは語り残したい日本映画@衛星劇場(録画HDD) 「ろくでなし」(1960年、松竹大船) 監督・脚本吉田喜重/津川雅彦/高千穂ひづる/川津祐介/山下洵一郎/安井昌二/三島雅夫/渡辺文雄/千之赫子/佐藤慶 時代との関わりという観点から…

華麗なるフィルモグラフィ

先の週末、新聞書評欄を見て欲しくなり、二駅先の大書店まで駆けつけさせた本とは、香川京子(勝田友巳編)『愛すればこそ―スクリーンの向こうから』*1(毎日新聞社)であった。 書評対象として取り上げられていたのではなく、先日読み終えた中野翠『小津ご…

反骨者松本清張の屋台骨

松本清張の担当編集者には、各社競って才色兼備の女性を送り込んだという話を何かで読んだことがある。美人を好んだという挿話はさておき、優秀な編集者ぞろいであったことは間違いないようだ。 新書新刊『松本清張への召集令状』*1(文春新書)の著者森史朗…

雅やかな散歩

本の書評と感想の違いを端的に言えば、責任の有無ということになろうか。書評となると評者としての立ち位置を明確にしなければならないゆえ、そこに責任が生ずる。だから書評を書くときはそのたび緊張して胃が痛くなり、「もうこんな仕事二度と引き受けない…

騙しのテクニック

喜劇特急第九幕 七人の名脇役@シネマアートン下北沢 「現代インチキ物語 騙し屋」(1964年、大映) 監督増村保造/脚本藤本義一・沢村勉/曾我廼家明蝶/伊藤雄之助/船越英二/丸井太郎/犬塚弘/園佳也子/中條静夫/上田吉二郎/潮万太郎 今回シネマアー…

螺旋構造とハードボイルド

これまでの書き方の原則に反したものになってしまうが、3月ここまでの読了本総浚い第二弾として、二冊の本を並べる。 まずは、筒井康隆さんの新刊長篇『ダンシング・ヴァニティ』*1(新潮社)。簡単にまとめてしまえば、ある美術評論家の身の回りに起きた出…

ドンゴロスの発見

二月末から今月にかけ、出張やら何やらいろいろなことがわが身にふりかかり、ゆっくりする時間をとることができなかった。出張では、奈良(「鹿男あをによし」の重要な舞台が用務先だった)、名古屋(国際女子マラソンの日で、しかも用務先が7キロ地点。まだ…

団令子の媚態、中北千枝子の怪演

東宝アクション!@シネマヴェーラ渋谷 「地獄の饗宴」(1961年、東京映画・東宝) 監督岡本喜八/原作中村真一郎/脚本池田一朗・小川英/音楽佐藤勝/三橋達也/団令子/池内純子/田崎潤/砂塚秀夫/中北千枝子/林幹/佐藤慶/天津敏/宮部昭夫/城所英…

秋田美人のイメージ

木村伊兵衛展『街角・秋田』@写大ギャラリー(東京工芸大学中野キャンパス) 木村伊兵衛が秋田、とりわけこのところわたしも縁がある内陸部の横手や六郷の人びとを写真におさめたことは、ちくま文庫の田沼武能編『木村伊兵衛 昭和を写す4 秋田の民俗』*1を…

70年代空気の缶詰

小林信彦さんの『唐獅子株式会社』*1(新潮文庫)を読み終えた。 任侠世界を舞台にしているということもあって、これまで敬遠気味にしていた本だった。古本屋でもよく見かけたけれども、いまひとつ買う気が起こらなかった。しかし、新潮文庫毎月の重版企画「…

何度観ても新鮮

「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.1 中村登と市川崑@神保町シアター 「悪魔の手毬唄」(1977年、東宝)※5〜6度目? 監督市川崑/原作横溝正史/石坂浩二/岸恵子/若山富三郎/加藤武/中村伸郎/辰巳柳太郎/草笛光子/渡辺美佐子/白石加代子/仁科明子…