2004-01-01から1年間の記事一覧

買い納め

ブックオフ山形馬見ヶ崎店 ★鮎川哲也『楡の木荘の殺人』(河出文庫) カバー、300円。山形に帰省している雰囲気のなかで買ってしまった。ISBN:4309401740 ★小林信彦『パパは神様じゃない』(ちくま文庫) カバー、105円。帰省前、東京の某古書店で本書の角川…

2004年印象に残った本

恒例の、この一年間で印象に残った本について。下に印象に残った本の月別リストを掲げた。全冊数は231冊。今年の新刊(文庫含む)には★印をつけたが、昨年にくらべて★印が多い印象だ。 ただ、別のところで書いたが、純粋な新刊小説となるとあまり読んでいな…

山藤章二挿絵入りエッセイ集

ブックオフ山形あかねが丘店 ★野坂昭如『エロトピア1』(文春文庫) カバー、105円。 ★野坂昭如『エロトピア2』(文春文庫) カバー、105円。 ★吉行淳之介『贋食物誌』(新潮文庫) カバー、200円。先日元版を手に入れたばかりだが、ようやく文庫版を入手。…

これまでの人生にひとしいほどの

今年は映画をよく見た一年間だった。下にリストを掲げるが、レンタルして家で見たもの(8本)を含め36本。映画ファンにしてみれば「それでよく見たといえるのか」と呆れられそうだが、映画を見るという習慣がほとんどなかった私にしては、これはひとつの「事…

津波の恐怖

スマトラ沖地震で発生した津波は、時間が経って被害の状況が明らかになるにつれ、津波襲来の瞬間をとらえた映像を見るにつけ、「想像を絶する」という紋切り型以外で驚きを表現する以外のことができなくなった。 地震国日本に住んでいるわたしたちですら、津…

本読みのウズウズとイライラ

ある読書エッセイを読み、そこで取り上げられている本が読みたくなってウズウズしてくる。本読みにとってこれにまさる快感はないだろう。快感をより強く味わうためには、その本を持っていないのが望ましい。しかもちょっとの努力とちょっとの幸運があれば手…

坪内・小林・色川・生島ときて

坪内祐三さんの『まぼろしの大阪』*1(ぴあ、→10/10条)の影響で生島遼一の本を読みたくなったのは私だけでなかった(id:foujita:20041125)。仲間がいて嬉しい。 坪内さんは前掲書のなかの「生島遼一のエッセイ集が六冊本棚に並んだ」で、若い頃は「それなり…

千恵蔵金田一大活躍

「逝ける映画人を偲んで2002-2003」@東京国立近代美術館フィルムセンター 「獄門島(総集篇)」(1949年、東横映画京都) 監督松田定次/原作横溝正史/片岡千恵蔵/喜多川千鶴/三宅邦子/小杉勇/大友柳太朗/齋藤達雄/進藤英太郎/沢村國太郎/千石規子…

言葉あそびのポテンシャル

見せると子供の朝御飯を食べる箸がとまってしまうので、なるべくテレビを見せないのが望ましい。ただ子供の箸がとまるのもうなずけるのだ。大人の私たちだって見ていて面白いのだから。NHK教育テレビの「日本語であそぼ」のことである。 野村萬斎や神田山陽…

柏の古本屋めぐり

柏の古本屋めぐり。最初に太平書林に行ったところ、あるべき場所に店がなくなっている!工事中で、貼り紙に仮店舗で営業中とあったので安堵。 太平書林 ★石和鷹『茶湯寺で見た夢』(集英社) カバー・帯、350円。短篇集。石和鷹さんの本はどれも菊池信義さん…

復興する大阪の町

小沼丹作品のような身辺の出来事を小説化した世界への傾斜はそのままに、このごろそれと対照的な世界、すなわち趣向を凝らした小説への興味も再燃しつつある。書き手としては丸谷才一・井上ひさし・小林信彦・筒井康隆といった面々。丸谷さんの小説こそ最近…

ナポレオン・トロワはハイカラか

べつに時代小説が肌に合わないというわけではないし、ミステリは大好きだ。なのに、時代小説とミステリが合わさった「捕物帳」はそれほど読まない。読まないというより、読みたいのだけれどなかなか手がつけられない。 綺堂の「半七」は学生の頃から持ってい…

鳶魚日記が揃った

大学堂書店@本郷三丁目 ★『三田村鳶魚全集』第26巻(中央公論社) 函・帯、500円。日記(中)。先日の飲み会で西秋書店さんから「日記(上)」一冊を購入したが、無事日記の残り二冊も手に入った。この巻には関東大震災についての記録あり。大正12年-昭和9…

夢の「大寺さん全集」

『小沼丹全集』第三巻*1(未知谷)をようやく手に入れた。 この全集については、第二巻の一部を読んだとき若干の感想を書いた(→8/31条)。そこで私は、小沼作品のうちでもいわゆる“大寺さん物”が好きだとしたが、ご承知のとおり「“大寺さん物”でない短篇も…

読書は隙間趣味である

目の前に一冊の本がある。それを手にとって読む。これで「読書」という行為が成り立つ。誰でもいつでもできるから、普遍的行為と言える。 ところがそのいっぽうで、読書はすぐれて個人的な行為でもあるだろう。読書好きの数だけ読書の流儀があるし、読書好き…

サイト運営者が選ぶ今年の3冊(小説限定)

「成城トランスカレッジ!―戯言@はてな―」さん(id:seijotcp:20041219)から、「サイト運営者が選ぶ今年の3冊(小説限定)」にぜひ回答をというご指名を受けました。たいへん光栄です。 ところが、新刊も読むし小説も読まないわけではないのですが、今年の読…

エッセイ集ばかり3冊

R.S.Books@八重洲地下街 ★戸板康二『五月のリサイタル』(三月書房) カバー・帯、1000円。久保田万太郎の歴代居宅をたどった記録「久保田万太郎遺跡」が収録されている。 ブックオフ代々木駅北口店 ★安岡章太郎『歴史への感傷旅行』(新潮文庫) カバー、3…

こちらは六時間半

「逝ける映画人を偲んで2002-2003」@東京国立近代美術館フィルムセンター 「特急にっぽん」(1961年、東宝) 監督川島雄三/脚本笠原良三/原作獅子文六/フランキー堺/団玲子/白川由美/小沢栄太郎/滝田裕介/太刀川寛/沢村貞子/森川信/谷村昌彦/平…

東京大阪間七時間半の旅

フィルムセンターの特集「逝ける映画人を偲んで2002-2003」で、獅子文六の長篇「七時間半」を原作とした映画「特急にっぽん」(川島雄三監督)が上映されるというので楽しみにしていた。 映画を見る前に原作を読んでおこうと思っていたが、結局読み始めたの…

落語・映画・歌舞伎エピソードの宝庫

川本三郎さんの『映画を見ればわかること』(キネマ旬報社、→11/12条)を読み、猛烈な読書欲をそそられた本があった。道江達夫『昭和芸能秘録―東宝宣伝マンの歩んだ道』*1(中公文庫)である。川本さんはこの本について、「映画、演劇、落語など、知られざる…

笑わせ泣かせ

「逝ける映画人を偲んで2002-2003」@東京国立近代美術館フィルムセンター 「もず」(1961年、文芸プロにんじんくらぶ) 監督渋谷実/脚本水木洋子/有馬稲子/淡島千景/川津祐介/永井智雄/山田五十鈴/日高澄子/清川虹子 8月の三百人劇場での渋谷実特集…

関東大震災のボランティア

先日の中越地震をはじめ、台風・大雨による水害、火山噴火などによる自然災害が頻発している。いや、実数は過去とそう変わりはないのかもしれないが、少なくともマスコミによって災害情報が毎日のように届けられ、胸に刻まれる。マスコミによる義援金の呼び…

筒井ミステリのレベルの高さ

驚いてしまった。 先日古本で筒井康隆さんの『富豪刑事』*1(新潮文庫)を買った(→12/10条)。その直後から「富豪刑事」というキーワードでのアクセス数が増えたので怪訝に思っていたところ、「富豪刑事」そのものが「はてな」でキーワード化されていること…

出会いと読みのタイミング

ある一冊の本と出会うこと、読むことというのはタイミングも大きな問題となる。著者・タイトルこそ記憶に刻みつけられてはいるものの、欲しい、読みたいというほどの関心があるわけでないので買わずにいた本が、あるきっかけで突然欲しくなり、いざ探すとな…

横手に行くといつも

恒例の横手日帰り出張。今回は所用前にブックオフに行く時間を確保することができた。横手はこのブックオフと、名物横手焼きそばがあるので、毎回訪れるのが楽しみ。今回も横手焼きそばを「やきそばの藤原」で堪能。中太ストレート麺目玉焼き載せ福神漬け付…

福袋をあける楽しみ

坪内祐三さんの『文庫本福袋』*1(文藝春秋)を読み終えた。 私は坪内さんの「文庫本を狙え!」(本書の初出)が連載されている『週刊文春』をほとんど読まない。妻の買い物にお供したとき、レジの精算を待つ間の時間つぶしに目を通す程度。ああ、そういえば…

さっそく原作を

大学堂書店@本郷三丁目 昨日見た映画「麻雀放浪記」の影響で、ようやく重い腰をあげ原作を入手しようという気になった。大学堂書店にあったはずと昼休み訪れ、落手。 ★阿佐田哲也『麻雀放浪記(一)青春編』『(二)風雲編』『(三)激闘編』『(四)番外編…

わが遺骨はオリオン座に

秋から冬にかけての季節、夜空を見上げそこにオリオン座を見つけると、またこの季節になったか、また一年生きることができたかと、嬉しくなる。 それとともに、オリオン座を見ると小学生の頃を思い出す。冬、通っていた算盤塾から出るとすっかりあたりが暗く…

転がり方の問題

「逝ける映画人を偲んで2002-2003」@東京国立近代美術館フィルムセンター 「麻雀放浪記」(1984年、角川春樹事務所・東映) 監督和田誠/原作阿佐田哲也/真田広之/大竹しのぶ/鹿賀丈史/加藤健一/高品格/加賀まりこ/名古屋章/天本英世/吉田良全/内…

お見事! part2

小林信彦さんの『袋小路の休日』*1(講談社文芸文庫→11/24条)を読んで以来、この連作と同じころかそれ以前に書かれた、小林さんのこの手の小説(いちおう純文学的と言っておこうか)が気になっている。そこで同書巻末の自筆年譜に目を通したところ、次の作…