2016-01-01から1年間の記事一覧

[読前読後]追憶の文学、あるいは夢の顔合わせ

(2001年12月4日に書いた記事の再掲) 小沼丹さんの『木菟燈籠』(講談社)を読み終えた。 何が起こるわけでもない。平静な暮らしのなかで出会う人々、小動物、木、花などとの対話の断面を切り取り、見事な言葉で結晶化する。そんな魔法のようなわざにただ見…

「三世澤村田之助小説」を超えて

今年の3/9条にて、三世澤村田之助が主人公ないし登場人物として登場する小説をあげ、これらを「三世澤村田之助小説」とくくってみた。 幕末明治期に美貌の女形として若い頃から立女形として活躍し、将来を嘱望されていたにもかかわらず、脱疽で両足や手を切…