最初と最後を楽しむ

  • 二月大歌舞伎・昼の部

仮名手本忠臣蔵 大序/三段目/四段目/浄瑠璃道行旅路の花聟

最近めっきり歌舞伎を観る機会が少なくなってきたことに加え、せっかく観に行ってもつい眠ってしまうことが多く、いい観客とは言えない。今回も三段目・四段目あたりに眠ってしまった。
大序と「道行旅路の花聟」だけかろうじて眠らずにすんだ。それだけ面白かったと言うべきなのか、どうか。
大序は口上人形の口上から、幕が開けて一人一人が息を吹き込まれてゆくあたりの荘重さに、歌舞伎を観に来ていることを実感させられ、ワクワクと興奮をおぼえる。何せ師直が富十郎、塩冶判官が菊五郎、桃井若狭之助が吉右衛門、顔世御前が魁春という大顔合わせだから、面白くないはずがない。
吉右衛門の若狭之助を観ながら、あと10年も経てば吉右衛門も師直役者になるのだろうかなどと思いを馳せる。吉右衛門の師直も観てみたい。
わたしの右隣の席は空いていた。もともとチケットを取った人がいなかったのか、事情で来られなくなったのか。四段目が終わり、次の浄瑠璃までの幕間に、その右隣にいたご婦人が一つ左、つまり私の右隣の空いていた席に移動してきた。
そのときのお話しでは、前方の列の人が身を前に乗り出してしまい、とても見づらいからとのこと。ちょうど右隣の席は、前列も前々列も空席なのだった。そこから、昨今歌舞伎のチケットはインターネットで予約できるようになったのはいいものの、それだとなかなか好きな席が取れなくて困るという話になり、やっぱり時間はかかるけど電話予約がよさそうだということに落ち着いた。
この話にはまったく同感で、わたしも今月夜の部のほうは、ネット予約だとあまりに変な席しか表示されないことに業を煮やし、電話予約に切りかえたのだった。難しいのかもしれないけれど、どうにかならないかしらん。
歌舞伎座も建て直されるということで、前列の頭で見づらいということも緩和されるのかもしれない。
昼食はいつも歌舞伎座近くにある吉野家小諸そばにしようと思っていたが、小諸そばのほうに行く途中左手のビル地下に「蜂の家」という佐世保発祥「長崎カレー」の店が開店したばかりであることを知り、カレー好きとしてはたまらず地下へもぐりこんだ。ビーフカレー700円。これから歌舞伎を観るときの昼飯候補が一つ増えたことを喜ぶ。
今回は歌舞伎の中味とは無関係な文章ばかりになってしまった。