歴史と星空のコラボレーション

葛西城を見つめた星たち

  • 特別展「関東戦乱―戦国を駆け抜けた葛西城―」@葛飾区郷土と天文の博物館

暖かい陽気の関西出張から戻ったその日の夕方、長男を連れて冷たい時雨のなか自転車で博物館に向かった。
なぜそこまでして葛飾区郷土と天文の博物館までおもむいたかと言えば、これまた「東京文化財ウィーク2007」の冊子で見つけたイベントに心動いたのであった。それは、特別展そのものというより、プラネタリウム企画のほう。
もっともまったく特別展と無関係ではない。特別展にからんで、上杉氏や北条氏による葛西城の攻防戦が繰り広げられた日の星空はどのようなものだったのかということをプラネタリウムで再現しようという企画(「特別展記念投映 葛西城をみつめた星たち」)なのだった。
この博物館のプラネタリウムは前々から関心があった。博物館に訪れることはあってもプラネタリウムを観たことがなかったが、今回初めて実現した。
郷土の学芸員である谷口榮さんと、プラネタリウムの解説員の方の掛け合いというユニークな、この博物館だからこそできるという好企画だった。城をめぐる攻防戦があった特定の三日間の星空をドームに映し出すことで、夜襲が行なわれた時間帯など、月が夜空に出ていたかどうか、月が満月に近かったのか、新月に近かったのかなどで当然夜空の明るさは異なっていたはずで(むろん当時それぞれ快晴だったという条件付きではあるが)、歴史を捉え直すうえでこれまで頭になかったような視点を得た。
「郷土と天文の博物館」ならではの素晴らしいコラボレーション企画。ただ実を言えば、私は歴史の講義を聴くのもいいが星空を眺めるのも大好きなので、たんなるプラネタリウム上映の機会にもぜひ観に訪れてみたいと思わされた。こんな近くにあるいいプラネタリウム、東京で星空を眺める機会がほとんどない今、訪れない手はない。
暖かい関西から寒い関東に戻って無理したせいか、翌日熱を出し一日寝込んでしまう。もう40歳、寒暖の差に身体がついていけなくなっている。