2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹新刊を初めて読む

村上春樹さんの新作短篇集『東京奇譚集』*1(新潮社)を読み終えた。春先、文庫化された『海辺のカフカ』を素直に面白く読み(→3/7条)、村上春樹も悪くないと思った。 天の邪鬼だから、「すでにたくさんの人が読んでいる」という圧倒的な事実を前にすると、…

愉快な川島雄三作品

名画 the NIPPON@チャンネルNECO(録画DVD) 「愛のお荷物」(1955年、日活) 監督川島雄三/脚本柳沢類寿・川島雄三/山村聰/轟夕起子/北原三枝/三橋達也/山田五十鈴/高友子/東恵美子/東野英治郎/小沢昭一/フランキー堺/殿山泰司/小沢栄太郎/…

読前六読後四の弁

丸谷才一さんの新刊『いろんな色のインクで』*1(マガジンハウス)を買い*2、同書冒頭の談話「藝のない書評は書評ぢやない」を読んだことには触れた(→9/25条)。 索引も完備した書評集なのだから、最初から通読するのでなく、興味のあるところだけ拾い読み…

近未来野球小説

大学堂書店@本郷三丁目 ★赤瀬川隼『球は転々宇宙間』(文春文庫) カバー・帯、150円。いままでこの本を平台でずっと見ているはずなのだけれど、なぜか今日、買う気になった。「走者一掃の三塁打的後味さわやか近未来野球小説」(カバー裏紹介文)。三塁打…

探偵小説の合作・リレー

昨日も引用したが、連句を「個人主義文学と共同体の文学との相克」(「歌仙早わかり」での丸谷発言)のなかに位置づけることには、二つの意味があるだろう。西欧の文学とわが国の文学の違いという比較文学的視点、および、わが国における前近代までの文学と…

連句は想像力のゲーム

安東次男『花づとめ』を読み(→9/25条)、そこで語られている連句の魅力と、連句が発散する共同体的制作現場の雰囲気に魅せられた身として、つぎにその安東宗匠から連句を鍛えられた丸谷才一・大岡信両氏がレギュラー連衆となって巻かれた連句集『とくとく歌…

日記文学のスペシャリスト林芙美子

先日読んだ川本三郎『夢の日だまり』*1(日本文芸社、→9/24条)の柱のひとつが「セピア色の紀行」と題された連載物で、ここでは明治から昭和初期にかけ欧米に渡った日本人の紀行が一回一冊ずつ紹介されている。取り上げられているのは、今和次郎・島崎藤村・…

マニアな男たち

日本映画名作劇場@衛星劇場(録画DVD) 「あした来る人」(1955年、日活) 監督川島雄三/原作井上靖/脚本菊島隆三/山村聰/三橋達也/月丘夢路/新珠三千代/三國連太郎/小夜福子/小沢昭一/高原駿雄/小沢栄(栄太郎)/金子信雄 あとから一々言及す…

人生愚挙多し

文庫本を同じ向きに積み上げてゆくうち、一定の高さに達すれば傾きだすのは道理である。これすなわち積ん読の限界なり。何列かもたれ合わせながら、崩れるのをかろうじて阻止している。 よせばいいのにそんな不安定な文庫本の山上に単行本を重ねてしまい、ま…

津島恵子を見直す

銀幕の美女シリーズ(津島恵子)@衛星劇場 「天使も夢を見る」(1951年、松竹) 監督川島雄三/原作藤沢恒夫/鶴田浩二/佐田啓二/津島恵子/河村黎吉/細川俊夫/幾野道子/坪内美子 銀座にある製薬会社の野球部に所属し都市対抗野球を目指す鶴田浩二と佐…

新しい自転車で

先日、仙台に住んでいた頃から乗っていた自転車のチェーンがぶつりと切れた。上り坂を上ろうとひと漕ぎ目に力を入れたとたん、ブチッといったのである。切れたチェーンをずるずる引きずりながら蕭然と家に戻った。 手入れを怠ったということもあるが、すでに…

眉毛が下がる川本三郎

「燃えよチャンバラ! 川本三郎が語る傑作時代劇映画の魅力」@池袋リブロ・コミュニティカレッジ 川本さんの新刊『時代劇ここにあり』*1(平凡社)の刊行を記念した企画。大学生協書籍部で入手しないうちにこのような企画があるのなら、一割引で買うことと…