2012-01-01から1年間の記事一覧

西片町と阿部家

「収蔵品展 伯爵家のまちづくり―学者町・西片の誕生―」@文京ふるさと歴史館 18日までということで、昼休みに観にいく。ぎりぎり間に合った。特別展・企画展というほど大規模なものでなく、地下の展示室を全面使ったものではないこぢんまりとした展覧会であ…

都市から郊外へ

「都市から郊外へ―1930年代の東京」@世田谷文学館 川本さんの『白秋望景』を集中して読む時間と空間を確保したいという気持ちもあって、雨のため子どものサッカーへのつきあいがなくなった土曜日、電車を乗りついで烏山の世田谷文学館へと足を運んだ。この…

雪よ林檎の香のごとく

川本三郎さんの新刊『白秋望景』*1(新書館)が出たことを知らなかったのは、川本ファンとして痛恨事だった。なにかの新刊案内で見たおぼえはあるのだがそのまま忘れ、別の新刊『時には漫画の話を』*2(小学館)の著者紹介中に『白秋望景』とあったのを見て…

わがユーミンおぼえがき

わたしが一番好きな歌い手は、いまもむかしも松任谷(荒井)由実である。 なぜ唐突にこんなことを書きだしたかというと、最近就寝前などにYou Tubeを見ることが多く、そこにたくさんアップされているユーミンの曲を聴き、関連動画のつながりで「あれも、これ…

寺田寅彦についての本に弱い

小山慶太さんの『寺田寅彦 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学』*1(中公新書)を読み終えた。著者の小山さんは早稲田大学の先生。理学博士とあり、物理学史や啓蒙的な科学書などの著作がある。寺田寅彦とおなじ専門の先生なのだろう。 本書は物理学者から…

時代と心中するということ

『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』*1(毛利眞人著、講談社)という本が出ることを新刊案内で知ったときに感じたのは、「色川武大さんがたしか書いていた人だ」「エノケンとコンビを組んでいた人だ」というほどのものであった。 刊行後さっそく購入し、読む前…

再読してわが身の変化を憂う

岩波現代文庫に入った川本三郎さんの『郊外の文学誌』*1を読み終えた。 この本の元版*2が新潮社から出たのは、2003年2月のこと。とおして読むのは約9年ぶりのことになる。わたしは3月2日に感想を書いている(「都市東京にはたらく遠心力」と題してさるさる日…

島崎雪子の芳兵衛

よみがえる日本映画 vol.3新東宝篇@東京国立近代美術館フィルムセンター 「もぐら横丁」(1953年、新東宝) 監督・脚本清水宏/原作尾崎一雄/脚本吉村公三郎/佐野周二/島崎雪子/日守新一/宇野重吉/若山セツ子/森繁久彌/千秋実/和田孝/田中春男/…

ライン・シリーズ マジック1

よみがえる日本映画 vol.3新東宝篇@東京国立近代美術館フィルムセンター 「黒線地帯」(1960年、新東宝) 監督・脚本石井輝男/脚本宮川一郎/天知茂/三原葉子/三ツ矢歌子/細川俊夫/瀬戸麗子/矢代京子/魚住純子/鮎川浩/宗方祐二/大友純 今週はなぜ…

日活アクションのはざまに咲いた花

現代文学栄華館―昭和の流行作家たち@ラピュタ阿佐ヶ谷 「硫黄島」(1959年、日活) 監督宇野重吉/原作菊村到/脚本八住利雄/美術木村威夫/大坂志郎/小高雄二/芦川いづみ/佐野浅夫/小沢栄太郎/山内明/芦田伸介/渡辺美佐子 新聞記者の小高雄二は、…

贅沢な時間のなかで

昨年読んだものの感想を書きそこねた本を書棚に探して、一冊一冊読んだときの記憶を呼び起こそうと苦労した。苦労のあとは昨年の大晦日に書いたとおりである(→2011/12/31条)。 そこの一番最後に書いたのが、関容子さんによる詩人堀口大學の聞書『日本の鶯…

本を読んで人生を考える

連休前に新刊本(といってもすべて昨年出た本だが)3冊を購った。それらすべてをこの連休中(しかもまだ二日目だ)に読み終えてしまった。めずらしいことである。「買った本すべてを読むわけではない」。本好きにとってしごくあたりまえの原則だが、実際読み…

横溝ブームのドキュメント

今年は帰省をしなかったため、食っちゃ寝の寝正月であった(帰省しても寝正月には変わりないのだが)。少し身体を動かしておかないと、仕事始め後の日常生活に差しつかえるという危惧もあったので、妻と次男と三人で隣町にあるブックオフまで歩いて往復する…