2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ひろいよみ断腸亭日乗(12)

昭和12年(1937)5月12日条 天気快晴。薫風颯々たり。早起机に憑りて草稿をつくる。午後一睡また読書。日の没するを待ちて門を出づ。銀座に飯して玉の井に至る。昭和病院裏の空地に曲馬の見世物あり。路地を一めぐりして白髭橋に至り円タクに乗る。車は三輪…

ひろいよみロッパ日記(2)

昭和12年(1937)5月11日条 十時半起き。日劇の事務所へ。那波光正と樋口とで話す、全く小林社長引退は困る。又々秦がシャ\/り出て、奮慨の種をまき散らすのではあるまいか。ビクターへ行く。鈴木静一の曲をけい古するつもりでゐたのに、ゐないので出来な…

夕刊フジのお勉強

『夕刊フジ』連載エッセイを今年の読書課題のひとつとし、これらの本を蒐集し読むことを愉しんでいるが、一歩進めて「研究課題」にするということであれば、それだけでは物足りなくなる。エッセイが連載された夕刊フジそのものがどんな新聞なのかという基礎…

そうとうヘンな映画

「監督 岡本喜八の世界」@日本映画専門チャンネル(録画) 「ああ爆弾」(1964年、東宝) 監督岡本喜八/原作コーネル・ウールリッチ/伊藤雄之助/越路吹雪/中谷一郎/砂塚秀夫/天本英世 今年のゴールデンウィークの目標のひとつに、この3月からハードデ…

スムース友の会&地下室の古書展

生来の人見知り人間が、すでに一度京都で会が開かれ、ある程度の雰囲気が醸成されているところに飛び込むのはかなりの勇気がいったのだけれど、書友晩鮭亭さん(id:vanjacketei)の京都の会ルポを拝読し、参加せずにはいられなかった。 岡崎武志さん(id:okatak…

スクリーンかDVDか

小林信彦さんの『週刊文春』連載コラムの2004年分をまとめた新刊『本音を申せば』*1(文藝春秋)を読み終えた。 このクロニクル・エッセイも7冊目で、わたしは1冊目の『人生は五十一から』が文春文庫に入り、4冊目の『物情騒然。』が単行本新刊で出た年(200…

気になる作家が多すぎる

長男の東京メトロスタンプラリーに付き合う。今日は東西線と日比谷線をまわる。せっかく付き合うので、自分のほうにも付き合いなさいと、門前仲町下車、ブックオフに行く。 ブックオフ門前仲町店 ★佐々木邦(外山滋比古編)『佐々木邦 心の歴史』(みすず書…

谷崎と横浜と映画

県立神奈川近代文学館の常設展では、谷崎潤一郎も取り上げられていた。『谷崎潤一郎全集』第26巻所収の年譜を見ると、それまで住んでいた小田原(といっても小田原には1年も住んでいない)から横浜本牧に転居したのが大正10年(1921)9月のこと。前年5月、横…

軽快な台詞劇を堪能

「吉村公三郎 女性映画革命」@三百人劇場 「婚期」(1961年、大映東京) 監督吉村公三郎/脚本水木洋子/撮影宮川一夫/京マチ子/若尾文子/野添ひとみ/船越英二/高峰三枝子/藤間紫/北林谷栄 先日観た「安城家の舞踏会」が豪華絢爛、重厚な映画だった…

アール・デコとミステリ

昨日見そびれた「アール・デコ展」(東京都美術館)を見る計画を立ててから、このタイミングに合わせたかのように海野弘さんの『アール・デコの時代』*1(中公文庫)が文庫化されたので、ちょうどいい機会と予習がわりに読んでいた。 この読書と並行して「ア…

大きな勘違い

「ジェームズ・アンソール展」@東京都庭園美術館 通勤電車で「アール・デコ展」のポスターを見かけたので、これは行かねばと頭の中にメモした。会場は「東京都○○…」とあったので、考えるまでもなく、「アールデコの館」たる旧朝香宮邸、つまり東京都庭園美…

曲軒か直軒か

“横浜読書”第一弾。木村久邇典さんの『山本周五郎 横浜時代』*1(福武文庫)を読み終えた。昨日書いた『五瓣の椿』を読んでいたところに、神奈川近代文学館の常設展で山本周五郎が取り上げられていたのを偶然見て、帰宅後本書を積ん読山脈「山本山」の底のほ…

こってりしすぎる

「吉村公三郎 女性映画革命」@三百人劇場 「安城家の舞踏会」(1947年、松竹) 監督吉村公三郎/脚本新藤兼人/原節子/滝沢修/森雅之/逢初夢子/清水将夫/津島恵子/神田隆/殿山泰司 名作の誉れ高い映画。期待して観たところ、ぶっ飛んだというか、わ…

法と掟の相克

先日北村薫さんの『続・詩歌の待ち伏せ』(文藝春秋)を買い求めたとき、ついでに新刊文庫本コーナーを眺めていたら、そこに平積みされていた山本周五郎『五瓣の椿』*1(新潮文庫)に目がとまった。 言うまでもなくこの本は新刊ではない。6月明治座において…

三島由紀夫展

「生誕80年・没後35年記念展 三島由紀夫 ドラマティックヒストリー」@県立神奈川近代文学館 詳細は上記参照。

第69 横浜元町の風格

県立神奈川近代文学館で開催中の「生誕80年・没後35年記念展 三島由紀夫 ドラマティックヒストリー」を見に行った。 同文学館は横浜山手の港の見える丘公園に隣接してある。横浜はめったに訪れることのない町だ。桜木町から神奈川県立歴史博物館に行ったり、…

海野弘、大誘拐、夕刊フジ本、ハイスミス

ということで『大誘拐』の原作探し。たしか創元推理文庫版があったはずと、職場近くの大学堂書店に行ってみると、こういうときに限ってなくなってしまっている。残念。かわりに次の2冊。 大学堂書店@本郷三丁目 ★小沢昭一『雑談にっぽん色里誌 芸人編』(ち…

定刻発車の思想

JR福知山線での脱線事故の報を聞いて、関西に住んで身近に感じるということではないものの、同じように大都会の電車を日常利用する者として、他人事ではないと大きなショックを受けた。以前日比谷線事故のときも同じように他人事ではないと感じたはずだが、…

予想外の面白さ

「大誘拐 RAINBOW KIDS」(1991年、東宝) 監督岡本喜八/原作天藤真/北林谷栄/緒形拳/風間トオル/樹木希林/西川弘志/内田勝康/神山繁/岸部一徳 この映画は原作ともども前々から気にはなっていた。ちょうど夜、子どもたちが早く寝てくれたため、うま…

澁澤龍彦を語る真打ち登場

文庫本をのぞいて、最近は新刊情報を追いかけるようなことがなくなった。いいことなのか、そうでないのか。 だから、書店の新刊書コーナーに、澁澤龍子さんの『澁澤龍彦との日々』*1(白水社)が平積みされているのを目撃したとき、びっくりすると同時に右手…