ひろいよみロッパ日記(2)

十時半起き。日劇の事務所へ。那波光正と樋口とで話す、全く小林社長引退は困る。又々秦がシャ\/り出て、奮慨の種をまき散らすのではあるまいか。ビクターへ行く。鈴木静一の曲をけい古するつもりでゐたのに、ゐないので出来ない。何うして此う世の中はだらしなくても済むのか。ローマイヤレストランへ行ってみる。グリンピースのスープ、ぬるくてまずし。スモークポークチャップとローストビーフ食ったが、てんでまづかった。五時二十分帝国ホテル演芸場へ、大倉浜口家結婚の余興に出て一席(100)、いやな客で一向笑はない。座へ出ると今日は前列の補助がズーッとあいてるので淋しかった。
相手が来なくて曲の稽古ができず、メシはまずく、余興では笑ってもらえず、客足もさびしい。愚痴りどおしのロッパの一日。このときロッパ一座は有楽座で「研辰の討たれ」を出していた。「座」とはそのこと。
結婚式の余興のくだりにある(100)とは、報酬のことだろうか。