ベスト10を埋める
- 監督黒澤明の仕事/脚本家橋本忍の仕事@日本映画専門チャンネル(録画HDD)
文藝春秋編『大アンケートによる日本映画150』*1(文春ビジュアル文庫)でのベスト10は次のとおりである。
- 「七人の侍」(黒澤明)
- 「東京物語」(小津安二郎)
- 「生きる」(黒澤明)
- 「羅生門」(黒澤明)
- 「浮雲」(成瀬巳喜男)
- 「飢餓海峡」(内田吐夢)
- 「二十四の瞳」(木下恵介)
- 「無法松の一生」(稲垣浩)
- 「幕末太陽傳」(川島雄三)
- 「人情紙風船」(山中貞雄)
このうち未見なのは2位の「東京物語」、4位の「羅生門」、8位の「無法松の一生」、10位の「人情紙風船」の4本。「東京物語」は心身ともに充実し余裕があるときにと考えているうちそのままになっている。その他はたんに時代物ゆえ敬遠がちになった結果だろう。
ようやく今回このうち「羅生門」を観た。黒澤明の国際的評価を決定づけた作品だが、言われているように、山中の木漏れ日のギラギラした光と、羅生門の雨の泥濘が立体感というだけでなく、五感から伝わってくる感覚がすごい。デジタルリマスタリングにより画像がとても鮮明であり、その効果を初めて意識した。
映像の迫力にくらべれば、ストーリーに対する思い入れは強くない。原作となった芥川の「藪の中」も知っているし、だいたいこんな流れだろうと頭に入っているゆえか。三船・京・森三者の言い分が異なるといううえに、目撃していた志村喬の証言を入れた点が新味なのだろうが、どうも惹き込まれるという境地に達しなかったのが残念だ。
やはりこの映画もまた、スクリーンで集中して観るべきだったかもしれない。