「動植綵絵」の出張中には

相国寺に「動植綵絵」が出陳されているあいだ、これらを所蔵している宮内庁三の丸尚蔵館では何をやっているのだろう。こんな意地悪で悪趣味な気持ちが芽生え、確かめてみることにした。もとより三の丸尚蔵館には行ったことがなく、この建物がある江戸城大手門内にも入ったことがないというのが、訪れてみたいと思った動機でもある。
三の丸尚蔵館は入館無料、展示室一室のみという狭いスペースではあったが、表記の展覧会が開催中であった。香淳皇后とは昭和天皇の皇后である。魚の絵が玄人はだしなのに驚く。天皇一家はそれぞれ何かしら特技(と言うべきか、ご趣味と言うべきか)を持っているものだ。
本当であれば大手門を入り三の丸尚蔵館を観たあと、じっくり本丸や二の丸あたりを散策してもよかったのだが、長男と一緒だったので今日は断念する。長男は、まわりが外国人ばかりであるのに驚いていたようである。わたしはと言えば、大手門の内側に百人番所などの建物がそのままあることに感激し、地方都市の小さな城郭遺構とは比べものにならない江戸城の立派な大手門を見上げてただただ茫然となる。
わたしと長男二人の留守番二日目。そろばん検定試験の会場に長男を迎えに行ったあと、そのまま電車を乗り継いで皇居に出たのであった。今日の目的は、以前これまた長男と訪れた出光美術館での「国宝伴大納言絵巻展」(→2006/11/5条)の帰りに遭遇した、“パレス・サイクリング”を体験することにあった。
パレス・サイクリングとは、毎日曜日、皇居前広場の道路を封鎖して、サイクリング道路として開放するイベントである。毎日新聞社のある平川門から、皇居をめぐるお濠の東縁を南に祝田橋まで往復約3キロ。無料の貸自転車もあるので手ぶらで参加できる。
わたしは最初に6段変速のスポーツタイプ、次に長男と乗る二人乗り自転車、最後に背もたれがあってペダルを前方でこぐタイプの自転車と、計3往復、約9キロをほとんど休まず走った(休まずといっても、信号は守らなければならない)。
ふだんは自動車道路になっている皇居前の広い道、お濠端の風光明媚な道路を自転車で走るのは爽快である。気温はかなり高くて暑かったけれども、留守番の二人でサイクリングを堪能した。お濠で泳いでいる白鳥の親子に観光客がさかんにカメラを向けていた。
この週末、土曜日は歩いて9キロ、日曜日は自転車で9キロと、珍しくアクティブな二日間を過ごした。おかげで腕は日焼けで真っ赤になり、ひりひりと痛い。