2006年の本

2006年は何かと所用が入ったためゆっくり本を読む時間が削られたことと、映画を多く観るようになったことで、読んだ冊数も少なくなった。例によって月ごとに印象に残った本を挙げると、下記のようになる。
こうしてふりかえってみると、映画に関する本を多く読んだなかでも、映画それ自体というより、映画館という空間から映画を考える本(『名画座時代』『銀座並木座』『映画館と観客の文化史』『東京名画座グラフィティ』)に関心が推移したということができるだろうか。
夢中になって読み進め、読んでいる間は時間を忘れることができた本。読者をぐいぐい引っぱってゆく本。そんな本を至上と考える者として昨年読んだ本のなかから選ぶとすれば、『名画座時代』『気になる部分』『昭和のまぼろし』『うらなり』『黒い福音』『日本映画を歩く』『東京の空の下、今日も町歩き』『本日記』『映画が目にしみる』あたりか。
川本三郎さんの2冊は文庫化の再読だが、何度読んでも惹き込まれる面白さ。いまの自分の関心にぴったりの文筆家である。小林信彦さんの本が3冊ある。小林さんの本、とりわけエッセイ(コラム)集は、外国映画や演劇など固有名詞を知らない話題が多く、本当であればなじめないはずなのだが、なぜかぐいぐい引っぱられる。この秘密はいつか自己分析せねばと思っている。
上記に含まれていないものの、味読、堪能という満足感が得られた本として、『パリでひとりぼっち』『怪盗ジゴマと活動写真の時代』2冊がある。2006年の3冊を選ぶとすれば、この2冊に小林さんの『うらなり』を加えたい。