大坂志郎の実家

昼休みを利用して神保町の東京古書会館に急ぐ。8ヶ月ぶりの「地下室の古書展」である。

★神成志保『わたしの酒亭・新宿「秋田」』(文化出版局
カバー・帯、300円。

秋田の郷土料理を出す新宿の居酒屋「秋田」に集った文人たちの交遊を綴った本。著者は「秋田」の女将である。ただ、わたしにとっては、この本が帯の背の部分にある「文壇裏面史」以上に、帯の表にある「おふくろの歴史です。/ながい険しい道程でした。/両手にしっかりと私たち兄妹を/抱えて、闘い抜いたひとりの/女の歴史なのです。」という推薦文を書いた人物への興味がまさっている。誰あろう俳優大坂志郎さんである。いまやもっとも気になる俳優の一人だ。
「秋田」という新宿の居酒屋が大坂志郎さんの実家であることは、川本三郎さんの『映画を見ればわかること』*1キネマ旬報社)で知ったのだと思う。同書所収「初期日活作品のこと、大坂志郎のことなど」のなかで、ラピュタ阿佐ヶ谷での日活特集に触れ、大坂志郎が気になった川本さんは、やはり古本屋でこの本を買い求め、読んで驚いたとある。
以来気になっていた本だったが、こんなかたちで遭遇できたのが嬉しい。格安で出品してくださった西秋書店さんに感謝申し上げます。