ひろいよみ酔いざめ日記(1)

  • 昭和39年2月29日条

辰野隆氏死去。二十八日午後十一時二十五分、虎ノ門共済病院で胃癌のため死亡。七十五歳。告別式は自宅練馬区立野町にて。(東京新聞)びっくりした。小生の近くで散歩の途上によく出逢ったが目礼するだけであった。足どりに少し元気がなくなったと思ったことはあったが、老齢の為と思い、胃癌とは感じなかった。
昨夜はどういうわけか神経が高ぶってなかなか眠れなかったので、眠くなるまで、気ままに木山捷平『酔いざめ日記』のページをめくって、拾い読みした。
いまもときおり書友の皆さんたちと行なっている古本屋めぐりの第一回が練馬・吉祥寺の古本屋めぐりだった(旧読前読後2002/4/1条→“Ç‘O“ÇŒã2002”N4ŒŽ)。そのとき私は、せっかく練馬方面に足を伸ばすのだからと、古本屋だけでなく、近辺にある木山捷平邸・辰野隆邸(いまもそのままご遺族が住んでいる)を訪れようと提案し、幸い皆さんの受け入れられるところとなった。
木山邸の場所を知ったのは、『BOOKISH』第3号木山捷平特集だったかもしれないし、講談社文芸文庫の年譜かもしれない。その近所に辰野邸があることを知ったきっかけとなると、さらに曖昧だ。住所はやはり講談社文芸文庫の年譜だろうか。そもそもこのとき辰野邸も残っているかどうかはわからず、住所だけを頼りに訪れてみるとまだあって、感激したように記憶している。
近所同士の二人、知り合いなのだろうかと思っていたら、たまたま昨日めくって目に飛び込んだ部分にこの記事を発見した。互いの散歩の途中、目礼をしてすれ違う木山捷平辰野隆、うーん、絶景だ。