最後の山口瞳文庫本

単身赴任

数ある山口瞳さんの文庫本のうち、なぜか講談社文庫の『単身赴任』だけなかなか手に入らなかった。単行本では持っているのだが、文庫好きのわたしとしては、文庫版が手に入らないための代償にすぎなかった。同じ講談社文庫の『婚約』はよく見るのに。
「へえ、あの本なら古本屋でよく見るけど」「わたしは何冊かダブりで持ってるよ」という人もいるかもしれない。自分でも不思議なのだが、本書だけなぜか縁がなかったのである。
そして今日、ようやく本書を棚澤書店の店頭段ボール箱のなかで見つけた。100円、しかも旧カバー(山口瞳さんのオレンジカラーではないもの)、帯付である。山口瞳さんの文庫本がすべて揃ったのは、慶賀すべきことだ。何年かかっただろうか。
たぶんこのあと、新カバーの講談社文庫版ともあっさり出会えそうな気がする。

  • 棚澤書店@東大正門前(店頭本)
山口瞳『単身赴任』(講談社文庫)
カバー・帯、100円。ISBN:4061317989
阿川弘之『軍艦ポルカ』(集英社文庫
カバー、100円。短篇集。和田誠さんのカバーイラスト。ISBN:4087506967
石川達三『洒落た関係』(文藝春秋
函、100円。最近ふじたさん(id:foujita)が入れ込んでおられるので、気になっていた。店頭段ボール箱に石川の単行本は2冊あった。このうち本書を手に取り、目次を見てみると、「中年の二人の関係」「嘘と誠の関係」「母と子のちぐはぐな関係」以下、「〜関係」というタイトルがずらり50も並んでいる。これが連作なのかわからないが、そうであれば「連作掌編」といったおもむき。わたしはこんな「洒落た」短篇集に弱い。