けた違いの掘出物!

出口裕弘『東京譚』(新潮社)
カバー・帯、100円。澁澤龍彦がモデルの人物も登場する連作短篇集。ダブり。
石子順『映画366日館』(現代教養文庫
カバー、300円。1月1日から12月31日まで、その日に関係する映画を紹介するというコラム集。映画好きにしてみれば一年間毎日一本映画を紹介することは難しくないだろう。その日に関係する映画を紹介するという点、労作としかいいようがない。
笹沢左保『招かれざる客』(角川文庫)
カバー、100円。北村薫『ミステリ十二か月』(中央公論新社)で紹介されていた一冊。「練りに練られた――という感じのする、緻密な作品」「素朴ともいえるほどシンプルな構成が成功していて、堂々たる傑作になっています」「笹沢ミステリの原点というにふさわしい作品」と北村さんは賞賛を惜しまない。しかも絶版とあったので気になっていた本。こういう言葉にだけひっかかるのである。
  • 最寄駅北口の線路沿いにある新古本
都筑道夫『全戸冷暖房バス死体つき』(集英社文庫
カバー・帯、100円。これまで何度も出会っていた本だけれど、見向きもしなかった。今日、100円だし帯付きだったので手に取ってみたら連作短篇集ということであったので、ようやく購入。
小林信彦『監禁』(角川文庫)
カバー、100円。『袋小路の休日』を読み終えた直後でもあり、小林さんの黒背文庫が気になった。昭和40年代半ば頃に発表された作品を集めた短篇集。耳慣れないタイトル、金子國義さんによるカバーイラスト、虫明亜呂無さんの解説にも惹かれる。小林信彦金子國義という取り合わせに違和感を抱きつつ、帰宅後ネットで調べて目玉が飛び出るほど驚いた。この角川文庫版の古書価が4500〜8000円となっているのだ。ゼロがひとつ多い。文庫でこの値段にまでなるのはよほどレアな作品ということなのだろう。それを、知らないとはいえ100円で入手したのだから自分でもびっくり。興奮を通り越して不思議な気分。
最寄駅近くにもかかわらずまれ(年一度あるかないか)にしか立ち寄らない店で、駅前で昼食をとったあとの腹ごなしに、久しぶりに足を伸ばしてみようかという気まぐれな動機で行ってみるとこんなことになる。先日の『洲之内徹小説全集』といい、最近私の上には“古本の神様”が来臨しているのかもしれない。