2004-07-16 ひろい読み断腸亭日乗(3) 日記拾読 昭和4年7月16日条 ・七月十六日 朝の中既に八十五六度の暑なり、午後書鹿〔たけかんむりあり〕を曝す、旧友の書簡多きが中に押川春浪有島武郎井上唖々の如き今は世になき人々の手紙多くあり、徃時を憶うて悵然たることしばらくなり、晩凉を待ち三番町に徃き遂に宿す、「三番町」とは、「荷風終生の愛人」関根うたさんのこと。前々年に身請けし前年秋から三番町(富士見町)にて待合を営ませていた。この日「遂に宿す」とはどういうことを意味するのだろう。ストレートに解すればいいのか。関根うたについては、松本哉『永井荷風ひとり暮し』*1(朝日文庫)・『女たちの荷風』*2(白水社)二著が詳しい。 *1:ISBN:4022642033 *2:ISBN:4560049807