ひろい読み断腸亭日乗(2)

七月十五日。晴。炎蒸いよ\/堪難し。午後平井猪場氏来話。相携へて芝口の千成に飯し汐留橋の欄干に凉を納む。この橋上と信楽新道松阪屋裏四ツ角との二箇所はいかに暑苦しき夜にも凉風の来るあり。銀座辺にて最も凉しきところなり。
橋上はわからないでもないが、四ツ角の場合、そこだけ涼しいということがあるのだろうか。真夏の夜、銀座の怪。今度体感しにいってみようか。
「炎蒸」(えんじょう)とは、字面のとおり蒸し暑いという意。『日本国語大辞典 第二版』を引くと、主に漢詩などに用いられる漢語のようだ。