2003年の印象に残った本

東京の空の下、今日も町歩き

恒例の今年読んで印象に残った本を羅列してみたい。( )内はその月に読んだ冊数、★印の本は今年の新刊書である。いまのところ230冊読んだことになる。
ここからさらに絞るとなれば、やはり今年は私にとっては“川本三郎イヤー”になるのだろうと思う。『林芙美子の昭和』『郊外の文学誌』『青いお皿の特別料理』『東京の空の下、今日も町歩き』四冊いずれも内容充実の素晴らしい本ばかり。このうちあえてベストを選べば、書影をかかげた『東京の空の下、今日も町歩き』になるだろうか。
小説をあげよと言われれば、久世光彦さんの『飲食男女』(感想は5/2条)が、正直あまり期待していなかったこともあってか、インパクトが強かった。世間的に(そして私のまわりの書友の皆さんのサイト的にも)あまり話題になっていないようなのが残念な短篇集である。
長篇では丸谷才一さんの『輝く日の宮』、その他短篇集では、川上弘美さんの『ニシノユキヒコの恋と冒険』と堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』二冊となるだろうか。
知的刺激を受けたノンフィクションでは原武史さんの新書二冊、『皇居前広場』と『鉄道ひとつばなし』が印象深い。
新書といえば坪内祐三さんの『新書百冊』によって、今年は例年にくらべて新書を読んだ冊数が増えたのではあるまいか。その他山下裕二さんの『日本美術の二〇世紀』も夢中になって読んだような気がする。