一度観た映画を忘れるということ

「不敵な男」(1958年、大映)※二度目
監督増村保造/脚本新藤兼人川口浩野添ひとみ船越英二/永井智雄/市川和子/岸田今日子

「黒蜥蜴」を観て、気の毒な川口浩ということを思いつつ、ハードディスクレコーダーに録りためていた映画を眺めていたら、この「不敵な男」が目に止まったので観始める。「不敵な男」川口浩のチンピラぶりが堂に入っているし、なにしろ野添ひとみがかわいいのである。
ただ、観ながら「あれ、以前観たことがあるような…」と思いつつ、深く気にとめずにそのまま流していたら、刑事の船越英二川口浩を自宅に招いて酒をご馳走するシーンや、それをきっかけに川口浩が仲間に疑われ、船越も殺されてしまうというシーンになると、いよいよ既視感がつのってきた。
ここに以前感想を書いているかもと検索したところ、約4年前にラピュタ阿佐ヶ谷で観ていたのを知り(→2007/10/7条)、愕然とした。一度読んだ本を、読んだことをすっかり忘れて初読のように読んでしまう経験はないでもなかったけれど、一度観た映画を忘れてしまうとは。いよいよ加齢により脳が退化しつつあることを認めなければならないだろうか。
あるいは、川口浩野添ひとみコンビによるこの手の大映映画には似た雰囲気の作品が多いから途中で気づかなかったのだと強弁しようか。それでは増村・新藤コンビに失礼かもしれない。
作品自体は再見であってもじゅうぶん楽しめたし、脇役で出ていた市川和子も思いのほかかわいいなあという発見もあったので、無駄ではなかった。