四度目でも愉しめる

紅の翼」(1958年、日活) ※四度目
監督中平康/原作菊村到/脚本中平康松尾昭典/音楽佐藤勝/石原裕次郎中原早苗二谷英明芦川いづみ滝沢修大坂志郎芦田伸介西村晃小沢昭一/安部徹/岡田真澄相馬幸子東恵美子/峯品子/清水まゆみ/山岡久乃/下條正己

出張から帰り、夕食を食べて風呂に入ってようやく人心地ついたのでテレビを観ようとしたら、ちょうどチャンネルNECOで「紅の翼」が始まったばかりだったので、観ることにした。
すでに20分ほど過ぎており、二谷英明中原早苗、そして破傷風の血清を乗せた裕次郎操縦のセスナが空港を離陸しようとする場面だった。
この映画はもう四度目。今年に入っても、新文芸坐での音楽監督佐藤勝特集で観ているので(→4/12条)二度目だ。でもやはり何度観ても面白く、傑作である。
紅の翼 [DVD]何度も書いて恐縮だが、セスナの遭難騒ぎで空港に集まった裕次郎の妹芦川いづみ中原早苗の父滝沢修が実にいい。中原の先輩記者小沢昭一が彼らのことを「ご遺族」と口走ってしまったため、猛抗議する滝沢の一人舞台に続き、自分がイブの誘いを断ったからこうなったと大声で泣き崩れる峯品子に近づき、兄は約束を断られて自暴自棄になるような人間でなく、小さな命を救うという崇高な思いで飛んだのだと、両手を前で合わせながら歌い上げる芦川いづみの一人舞台が続く。それぞれ二人の見せ場である。
次に、新島に不時着して夜を明かしている裕次郎が映り、今度の仕事を引き受けたのは妹の賛美歌を聴かされるのも嫌だからという理由を喋っている。妹芦川の思い込みとのギャップのおかしさ。もうほとんどギャグである。
裕次郎とのイヴのデートを断った峯品子は、岡田真澄とデートしていたのだが、日本映画データベースでこの役は待田京介となっている。プレスリリース以後変更になったものか。岡田さんはこの時点ですでにある程度の格がある俳優となっていたはずである。特別出演のような立場だったのだろうか。