「衝撃のラスト」が気になって

  • MOVIX亀有
「HERO」(2007年、フジテレビ・東宝・J-dream・FNS27社/東宝
監督鈴木雅之/脚本福田靖木村拓哉松たか子松本幸四郎角野卓造阿部寛八嶋智人勝村政信/大塚寧々/小日向文世児玉清香川照之森田一義中井貴一綾瀬はるか岸部一徳国仲涼子古田新太奥貫薫鈴木砂羽波岡一喜田中要次石橋蓮司正名僕蔵/ペク・ドビン/イ・ビョンホン

先週の土曜日に公開された映画版「HERO」。観に行きたいなあとは思っていたけれど、それほど積極的なものではなかった。
でも今朝の「めざましテレビ」のなかで、舞台挨拶の模様が流され、軽部真一アナをはじめとするキャスター陣の間で「衝撃のラスト」が云々などと言っているのを聞いていたら、猛烈に観たくてたまらなくなってきた。帰宅して夕食をとってから、自転車で10分足らずの場所にあるシネコンに駆けつける。
そもそもテレビシリーズは好きで欠かさず観ていた。映画を観ていたら、キムタクこと久利生検事が東京城西支部から石垣島に飛ばされたのが6年前のことだという会話があったので不思議に感じる。自分の感覚では、わたしが東京に移り住んだばかりでまだ子供が生まれていない頃、8〜9年前のことだと思っていたからだ。
もとより松たか子ファンではあったが、ストーリーもあわせて「HERO」に淫した挙げ句、登場人物がずらり横並びになるシーンのロケ現場に妻と訪れたことがあり、それは子供が生まれる前のことだと思い込んでいたのである。
いま過去の散歩録*1を調べると、やはり映画が言うごとく2001年のことであり、長男も連れて行ったとある。記憶とはかくもいい加減なものなのだ。
そのときは、「HERO」のロケ現場である辰巳の森海浜公園だけでなく、「踊る大捜査線」の湾岸署に使われている潮見の内田洋行ビルや、城西支部の建物となっている丸の内のビルにまで足を運んでいる。あきれるほどのミーハーぶり!
さて映画。テレビシリーズの人間関係をすっかり忘れてしまっていたが、観ているうちに少しずつ思い出してくる。久利生検事が公判判事を担当する傷害致死事件と、検察庁特捜部が追及する大物議員の贈収賄疑惑がある一点で絡んでくるという技巧的なストーリー展開。なかなか面白い。
テレビのときは、キムタク・松たか子のほか、大塚寧々や阿部寛くらいは知っていたが、八嶋智人小日向文世勝村政信といった面々は「誰?」といった感じで、このとき印象づけられたのではなかったか。いまやみんな押しも押されもせぬ人気俳優である。角野卓造さんや児玉清さんを含めてずらり並ぶと壮観だ。
香川照之は「ゆれる」での印象が強いせいか、今回のような特捜部のエリート検事では違和感がある。むしろ「踊る大捜査線」の筧利夫を思い出す。
この映画でやはりブレイクした田中要次。もう少しストーリーに(とくに久利生検事の山口時代と)絡んでくるのかと思ったら、あっさりしていた。鈴木監督が手がけた「古畑任三郎」において、わたしは田中要次が重要な役割を果たし、さらに今回の映画でも重要人物としてキャストされた松本幸四郎が犯人の外交官役で出演したスペシャル版を最高傑作(三谷さんが仕掛けた前代未聞のトリック!)にあげて憚らない者だが、今回の「HERO」でもこの二人が出てくるということで、変な期待をしてしまった。
ところで「衝撃のラスト」。たしかに衝撃的ではあるが、まあそういうものかな、という印象だった。結局見事にフジテレビの策略にはめられたということになるのだろうか。