フランキー堺初主演作
そもそもこの映画は「幕末太陽傳」の前なのか後なのかを調べようと“日本映画データベース”を検索したら、どうやら本作以前の映画出演作はすべて助演であることがわかり(わたしが観た作品では川島雄三監督の「愛のお荷物」)、つまり本作が初主演作だということが、観終えたあとに判明したのである。
ストーリーに面白味はあまりない。フランキーが猿飛佐助、ブーチャン(市村俊幸)が三好清海入道を演じ、二人が真田十勇士に加わるまでを描いたもので、井上監督らしくミュージカル的な要素で味つけされた喜劇である。
このときのフランキーさんは、袖をひるがえして飛び跳ねまわり、身体的能力の高さを発揮して動きがすこぶる軽快だ。顔のつくりそのものはフランキー堺という以外の何物でもないのだけれど、「白皙の美少年」的風情もある。
たしか水島道太郎とのからみだったように記憶しているが、歌舞伎風の言い回しで台詞を応酬する場面があって、そのときの口跡が歌舞伎役者ばりに見事で、才気煥発というのか、この時期の溌剌とした魅力がこの二年後(ということをデータベースで調べてわかった)の「幕末太陽傳」につながるのだと感じる。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 1996/12/06
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