フランキー堺初主演作

「猿飛佐助」(1955年、日活)
監督・脚本井上梅次/脚本西沢裕/フランキー堺/市川俊幸/有島一郎/水島道太郎/広岡三栄子/遠山幸子/小川虎之助/三木のり平名和宏/小林重四郎/雨宮節子

そもそもこの映画は「幕末太陽傳」の前なのか後なのかを調べようと“日本映画データベース”を検索したら、どうやら本作以前の映画出演作はすべて助演であることがわかり(わたしが観た作品では川島雄三監督の「愛のお荷物」)、つまり本作が初主演作だということが、観終えたあとに判明したのである。
ストーリーに面白味はあまりない。フランキーが猿飛佐助、ブーチャン(市村俊幸)が三好清海入道を演じ、二人が真田十勇士に加わるまでを描いたもので、井上監督らしくミュージカル的な要素で味つけされた喜劇である。
このときのフランキーさんは、袖をひるがえして飛び跳ねまわり、身体的能力の高さを発揮して動きがすこぶる軽快だ。顔のつくりそのものはフランキー堺という以外の何物でもないのだけれど、「白皙の美少年」的風情もある。
たしか水島道太郎とのからみだったように記憶しているが、歌舞伎風の言い回しで台詞を応酬する場面があって、そのときの口跡が歌舞伎役者ばりに見事で、才気煥発というのか、この時期の溌剌とした魅力がこの二年後(ということをデータベースで調べてわかった)の「幕末太陽傳」につながるのだと感じる。

猿飛佐助 [VHS]

猿飛佐助 [VHS]