小林旭と吉永小百合

「黒い傷あとのブルース」(1961年、日活)
監督野村孝/原作山野良夫/脚本山崎巌・吉田憲二小林旭吉永小百合大坂志郎/稲葉義男/神山繁郷硏治近藤宏

奸計にはめられて数年の刑務所暮しを余儀なくされたヤクザ(小林旭)が、獄中にいる間に亡くなった組長の遺族の暮しを支えるため、また自分を陥れた罠に報復するため、出所してから仇を捜し回る。
黒い傷あとのブルース [DVD]ようやく捜し当てた仇は、すでにヤクザ稼業から足を洗い、スーパーマーケットを経営していた。それが大坂志郎大坂志郎には愛娘がいる。それが吉永小百合。すでに小林旭吉永小百合は出会っていて、お互い好感を持っていたのだった。大坂のもとに訪れた小林のところに、吉永小百合が顔を見せ、そのような関係であったと驚く。
吉永はずっと秋田に預けられていたため、父大坂志郎の過去を知らない。大坂は娘を鍾愛するあまり、彼女に自分の過去を知られたくないが、過去を知り、ましてや自分を仇と思っている小林旭の出現で窮地に追い込まれる。
小林旭が善玉だが、大坂志郎は単純な悪玉ではない。善悪両面といったところ。そのあたりの二面性は、大坂さんにははまり役だ。この作品での悪玉は、吉永を狙い、半ば大坂を脅迫する神山繁である。インテリ悪玉風の神山繁さん、先日観た裕次郎主演の「喧嘩太郎」でもそんな感じの役だったような気がする。
以前小林旭主演の「やくざの詩」を観たとき(→6/4条)、小林旭芦川いづみ共演は珍しいのではないかと書いた。それ以上に、この作品における小林旭吉永小百合共演は珍しいらしい。調べてみると、たしかに主演格での共演はこの一本のみだ。日活を代表するスターでありながら、こういうこともあるのだな。
とにかく吉永小百合は可愛い。バレリーナを目指しているということで、レオタード姿やバレエを踊っている姿もちらりと登場する。