千秋実のピエロ

「恋の阿蘭陀坂」(1951年、大映
監督鈴木英夫/脚本松田昌一/美術木村威夫京マチ子菅原謙二千秋実北河内妙子/浦辺粂子/見明凡太朗

先日観た小林旭主演の「さすらい」同様、この映画も旅回りのサーカス団を舞台としている。サーカスというのは、異世界であって異世界でないような、50年代60年代には、まだサーカスに対する羨望のような気持ちがあったのだろうか。
造船所で同僚を死なせた過去の傷を持つ菅原謙二と結婚したいという夢があるサーカス団の花形踊子京マチ子。菅原が京の故郷でもある長崎でサーカス団と別れるとき、一年後同じ場所で再会・結婚を誓う二人。しかし一年後、この日を心待ちにして自らこしらえたウェディング・ドレスを着て駆けつけた京マチ子に待っていた知らせは…。という恋愛悲劇。
どうもストーリーが単純でこれまた面白味に欠けるのだが、見るべきは、京マチ子に思いを寄せるサーカス団のピエロ千秋実によるピエロの演技と、京マチ子の踊りだろうか。石畳の阿蘭陀坂、あれは木村威夫によるセットなのだろうか。