やっぱり泣ける加藤嘉

砂の器」(1974年、松竹) ※二度目
監督野村芳太郎/原作松本清張/脚本橋本忍山田洋次/音楽芥川也寸志丹波哲郎加藤剛森田健作加藤嘉島田陽子笠智衆渥美清/緒方拳/春日和秀/佐分利信山口果林/松山省二/稲葉義男/内藤武敏春川ますみ花沢徳衛/信欣三/殿山泰司菅井きん/浜村純/穂積隆信山谷初男野村昭子/松本克平

記録を調べると、前回観たのは2004年1月のことだから(→2004/1/27条)、2年10ヶ月ぶりの再見となる。
そのときは「刑事の物語である原作を、その味を損なうことなく枝葉をそぎ落とし、感動的な親子の物語に見事に換骨奪胎している」と書いたが、やはりこの作品は刑事がみずからの足を使って丹念に捜査を進め、一歩一歩真相に近づいてゆくドラマの面白さが根底にあると考えをあらためた。砂の器 [HD DVD]
とはいえ、ラストの「宿命」の演奏と親子流浪のシーンが重ね合わされ、徐々に盛り上がりをみせながら、最後に入院した加藤嘉丹波哲郎が面会するシーンは、さすがに目頭が熱くなった。
先日亡くなった丹波哲郎の代表作としてあげられるのがこの作品なのだろう。主演と言っていいし名作だからそれは否定しない。個人的には小声で「豚と軍艦」とつぶやきたいのだが。
今回印象に残ったのは、最初に丹波哲郎亀嵩におもむき、土地の警察署長と話をしていたときに窓の外から聞こえてくる蜩の声と、亀嵩の田園風景に響く蝉と蛙の鳴き声だった。汗をしたたらせながら歩き回る丹波哲郎の姿に「日本の夏」が浮かんでくる。