リメイク版「犬神家」へ向けて

「女王蜂」(1978年、東宝
監督市川崑/原作横溝正史/脚本市川崑日高真也桂千穂石坂浩二高峰三枝子司葉子岸恵子仲代達矢萩尾みどり/中井貴恵/沖雅也加藤武大滝秀治神山繁小林昭二伴淳三郎三木のり平草笛光子坂口良子白石加代子石田信之中島久之常田富士男

「稲妻」を観た帰り、中央線(総武線)でそのまま錦糸町に出、楽天地の映画チケット売場にて、12月に封切られる「犬神家の一族」の前売り券を購入した。「涙そうそう」「地下鉄に乗って」「椿山課長の七日間」と、このところ観たい新作映画が目白押しだ。あるいは「犬神家の一族」を観る前にこれらを観る可能性がないわけではないが、まずは前売り券を買ったということで、久しぶりに新作封切時に映画を観ることになるのは確実だ。シネコン初体験ともなるだろう。
長男も「犬神家」にはご執心で、観に行きたいと主張したため、前売り券を2枚購入した。幼稚園児のときだったか、「獄門島」を観て、三姉妹の逆さ吊りに怖じ気づいたものだったが(当たり前か)、「金田一」というキャラクターが好きだとおぼしく、また湖から足が二本にょっきりと突き出ているシーンも怖いどころか面白いらしい。
まあ「犬神家」で怖いシーンといえば、復員直後の「佐清」がマスクをはずそうとするシーンと、菊人形にのった佐武(だったか)の生首が落ちるシーン、天窓から佐智(だったか)の死体の顔がのぞくシーンくらいだから、まあ耐えられるだろう。
「犬神家」を観る勇気があるかどうかの予行演習ではないが、ちょうど日本映画専門チャンネルで流れていた「女王蜂」を一緒に観てみる。「女王蜂」の場合、冒頭、中井貴恵の求婚者の一人が殺され、その死体が時計台の歯車に巻き込まれて片腕が肘からちぎれ飛んでくるシーンが怖いくらいか。女王蜂 [DVD]
さすがにそのシーンを目の当たりにした長男は固まっていたが、だからといって「犬神家」を観るのをやめると言い出さないので、無事障害はクリアしたということか。
わたしのほうは、中学生のとき最初に観て以来、この作品を観るのは三度目か四度目になる。にもかかわらず、事件に華族が関わっていたことはすっかり記憶から抜けていた。また、三木のり平の「嵐三朝一座」のくだりがあっさりと描写されていたのは意外だった。記憶ではこの旅芝居のくだりの印象が強いのだ。
同じく印象が強いのは、神山繁が中井貴恵を襲おうとして殺されるシーンと、その密室が箱根細工でできており、金田一が開けるシーン。神山繁のインチキ臭い長髪が、実物の髪の毛の具合とのギャップを感じ、だからこそインチキ臭さが満点なのだ。伴淳さんの田舎警官が味わい深く、謎の青年沖雅也に強い存在感がある。
スケキヨ君ストラップところで、「犬神家の一族」の前売り券には、特典として「スケキヨ君ストラップ」が付いている。実はこれが欲しくて前売り券を買ったようなものなのだ。旧「犬神家の一族」の主題曲「愛のバラード」を携帯電話の着メロにしているわたしにとって、このスケキヨ君ストラップを付けたことでほぼ完璧な「犬神家」仕様となったことを喜びたい。それにしても、佐清が「スケキヨ君」というキャラクターになってしまうとは、隔世の感がある。