人呼んで…

「銀座旋風児マイトガイ」(1959年、日活)
監督野口博志/原作・脚本川内康範/小林旭浅丘ルリ子宍戸錠芦田伸介西村晃/青山恭二/白木マリ/南風夕子/菅井一郎/藤村有弘/高品格/稲垣美穂子

クイズ番組によく、「石原裕次郎はタフガイ、小林旭マイトガイ、では二谷英明は?」などという問題が出たりする。むかしはわからなかったけれど、いまなら大丈夫だ*1。あるいは、「石原裕次郎はタフガイ、小林旭マイトガイですが…」「マイトガイの『マイト』とは何を意味するでしょう」という問題もあったような気がする*2
このニックネームがいつ付けられたものなのか、そこまで詳しくないからわからない。この映画「銀座旋風児」の「旋風児」に「マイトガイ」のルビが振られており、あるいはこれがはじまりなのだろうか。映画では登場人物は小林旭のことを「マイトガイ」とは呼ばず、「ぎんざせんぷうじ」とそのまま呼んでいた。主題歌は小林自ら「マイトガイ」と唄っている。
それはそうとこの映画、内容的には先日観た赤木圭一郎の「拳銃無頼帖」や石原裕次郎主演作などと比べると、どうも気が乗らなかった。むしろ以前観た「東京の暴れん坊」シリーズのほうが断然面白い。「渡り鳥」シリーズは未見だが、たぶん「旋風児」シリーズより落ちるということはあるまい。
銀座に事務所を構える有名デザイナー二階堂卓也というのが小林旭の役名。女性に大人気だが、彼女たちも彼の実物をあまりよく知らないという神出鬼没のキャラクター。まれに人通りの多い場所に姿を現わすと、甘い物にわらわら寄り集まってくる蟻のように女性が集まってくる。どうにも奇妙。
水色のジャケットに蝶ネクタイというオシャレないでたちで、変装の名人なのだが、その変装の仕方も様になっていない。と文句をつけるほうがおかしいか。軍需物資の横流しで大もうけした芦田伸介一味を懲らしめるという役回りなのだが、キャラクターとしてどうもわたしには受け付けられなかった。
浅丘ルリ子もヒロインというほどはっきりと目立つわけではないし(父親が芦田伸介に殺された娘役)、宍戸錠はまだ面白いが、「抜き射ちの竜」ほどオーバーアクトではない。西村晃も藤村有弘も不発気味。唯一目立つのはやはり芦田伸介か。実はバリバリの日本人なのだが、中国人になりすまし、例の怪しい日本語を操る。日本人俳優芦田伸介が、日本人だが中国人になりすまして日本語を操るというあたりの複雑な構造(?)を楽しめばいいだろうか。今月はこの「旋風児」シリーズ全6作がチャンネルNECOで放映されているが、ほかは観なくてもいいかなあという感じだ。
銀座旋風児 [DVD]

*1:解答:ダンプガイ

*2:解答:ダイナマイトの「マイト」