手を替え品を替え
石原・北原コンビで映画を作りつづけていれば、恋人同士という単純な設定では客に飽きられてしまう。行き着くところは“禁断の恋”か。このあいだ観た「風速40米」では、互いの父母が再婚し、連れ子同士で血のつながらない兄弟という間柄だったし、「素晴しき男性」では、最後に二人は結ばれるものの、途中までは北原は石原の弟の婚約者だった。
この「山と谷と雲」では、さらに危なくなる。北原は石原の兄嫁なのだ。この映画の石原裕次郎は山岳写真家。ある日雪山の写真を撮るため山に登っていたところ、雪崩に遭い瀕死の重傷を負う。そのとき看病したのが、地元の造酒屋の若女将である北原三枝だった。
骨折して入院しているにもかかわらず、時々ベッドを抜け出して町の小鳥屋に行き、小鳥を買うかふくろうを買うか迷っているような石原の奔放で心優しい面に惹かれる北原。しかし彼女は、石原の兄で流行作家である金子信雄の熱心な求婚を受け入れる。
人間を撮ったことがない石原が、はじめて人間を撮って評判になった写真に写っていたのが北原であることを知り、金子は石原の本心を悟る。そして自ら北原を捨て、画家の未亡人宮城千賀子と堕落した生活を送るようになる。
ラスト近くの、金子信雄と石原裕次郎の殴り合いの喧嘩が見物と言えば見物だが、うーん、やっぱりこの映画も狙いがいまひとつわからず、ぱっとしないものだった。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 1999/05/28
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