裕次郎映画という大きな流れ

「素晴しき男性」(1958年、日活)
監督・脚本井上梅次石原裕次郎北原三枝月丘夢路大坂志郎山岡久乃待田京介三島雅夫/清川玉枝/金子信雄/林茂朗/西村晃/白木マリ/柳沢真一

「他愛ない」という言葉がぴったり当てはまるようなミュージカル風映画だった。同じミュージカル劇団に所属する石原裕次郎北原三枝。石原は「うるさ型」とあだ名される演出家で、北原はトップ女優。北原は玉の輿に憧れ、お金持ちの家の跡取り息子(待田京介)と婚約する。彼には外れ者の兄がいて(大きな屋敷のなかでなく、敷地内にあるガレージの二階に家族と離れて住んでいる)、これが何と石原裕次郎だったというオチ。そしてお決まりのように婚約は破棄され、石原と北原が結ばれる。
月丘夢路は石原の姉、北原の姉が山岡久乃で、彼女の夫が有名な彫刻家である大坂志郎三島雅夫と清川玉枝が石原の父母役。
これだけ単発で観ると、気の抜けた凡作としか言いようがないのだが、同じ1958年で言えば「夜の牙」のようなノワールな作品や、「赤い波止場」のようなムードアクション、「紅の翼」「風速40米」のような明朗アクション(?)という流れのなかに本作品を置けば、まあ毛色の変わったこのようなミュージカル風の作品も、ファンの目先を変えるという意味で立場があるのかもしれない。DVDになっていないというのも良くわかるのであった。

素晴しき男性 [VHS]

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