裕次郎映画という大きな流れ
「他愛ない」という言葉がぴったり当てはまるようなミュージカル風映画だった。同じミュージカル劇団に所属する石原裕次郎と北原三枝。石原は「うるさ型」とあだ名される演出家で、北原はトップ女優。北原は玉の輿に憧れ、お金持ちの家の跡取り息子(待田京介)と婚約する。彼には外れ者の兄がいて(大きな屋敷のなかでなく、敷地内にあるガレージの二階に家族と離れて住んでいる)、これが何と石原裕次郎だったというオチ。そしてお決まりのように婚約は破棄され、石原と北原が結ばれる。
月丘夢路は石原の姉、北原の姉が山岡久乃で、彼女の夫が有名な彫刻家である大坂志郎。三島雅夫と清川玉枝が石原の父母役。
これだけ単発で観ると、気の抜けた凡作としか言いようがないのだが、同じ1958年で言えば「夜の牙」のようなノワールな作品や、「赤い波止場」のようなムードアクション、「紅の翼」「風速40米」のような明朗アクション(?)という流れのなかに本作品を置けば、まあ毛色の変わったこのようなミュージカル風の作品も、ファンの目先を変えるという意味で立場があるのかもしれない。DVDになっていないというのも良くわかるのであった。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 1992/04/24
- メディア: VHS
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