「独立愚連隊」評判記

「独立愚連隊西へ」(1960年、東宝
監督岡本喜八/脚本関沢新一岡本喜八加山雄三佐藤允中谷一郎平田昭彦中丸忠雄フランキー堺水野久美

「独立愚連隊」シリーズ第二弾。加山雄三初主演作なのだそうだ*1。軍旗捜索を命ぜられた加山を隊長とする部隊の捜索行。痛快さは前作に軍配をあげたい。後知恵かもしれないが、八路軍の隊長を演じたフランキー堺の印象が強烈。
快楽亭ブラックさんによる“日本映画専門チャンネル”サイトの連載コラムではこう評価される。

戦争体験があり、軍隊の、戦争のいやなところばかり見てきた岡本喜八が、こんな戦友だったら、こんな敵だったらと戦争の理想郷を描いたのがこの映画だ。(…)戦後15年しかたっていない時代に、こんなに軽くて楽しい戦争映画を撮るのにはさぞ勇気がいったろうが、見事にやってのけた岡本監督に敬意をはらいたい。
双葉十三郎さんは『日本映画 ぼくの300本』*2(文春新書)のなかで、前作の「独立愚連隊」に☆☆☆☆(ダンゼン優秀)という、「姿三四郎」「七人の侍」「晩春」「麦秋」「浮雲」「幕末太陽伝」に匹敵する、最高レベルの評価を与えている。
敗戦のあと皆さんがまだ神妙な顔つきをしていた時代、こういう横紙破り的な一篇をブッ放したのはわが喜八監督ならではの痛快さだった。(…)ジョン・フォードラオウル・ウォルシュの西部劇・戦争劇も顔負けの出来で、ぼくは理屈抜きにゴキゲンだった。ヒットしたので続篇もつくられたが、ぼくはこの第一篇で喜びすぎたせいか気が抜けちゃったデス。(150-51頁)
小林信彦さんも『ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200』*3(文春文庫)のなかで「独立愚連隊」を選んで、次のように書いている。
この作品もいいが、フランキー堺八路軍の将校を珍演する「独立愚連隊西へ」も面白い。
映画のストーリーとまったく関係ないが、若き中谷一郎を見て「誰かに似ているなあ」と首をひねっていたら、イチローに似ているのだということに気づいた。名前のシャレではない。モミアゲからつづくあご髭・くち髭の雰囲気といい、顔の輪郭といい、けっこう似ている。

*1:今朝、テレビの芸能ニュースで、加山雄三芸能生活45周年パーティの模様を報じていた。

*2:ISBN:4166603833

*3:ISBN:4167256134