ウキウキ晴れ晴れ

「銀座カンカン娘」(1949年、新東宝) ※二度目
監督島耕二/高峰秀子灰田勝彦笠置シヅ子古今亭志ん生/岸井明/服部早苗/浦辺粂子

「銀座カンカン娘」は今年1月にラピュタ阿佐ヶ谷で観たのだけれど(→1/25条)、この特集でも上映されるということを知ってからというもの、ときどき「あの娘可愛やカンカン娘♪」という陽気な唄が頭の中でエンドレスで流れ、しかもこの唄を頭のなかで復唱しようものなら、荒んだ心も凹んだ心も一転、すこぶる気持ちが明るくなるという安定剤のような作用をもたらしたこともあり、ふたたび観に行くことにした。
せっかく志ん生も出ることだし、今回は妻を誘い仕事帰りに待ち合わせ二人で観に行った。会場は未曾有の来場者で300強の座席はほぼ満席ではなかっただろうか。先日の「稲妻」でもすごいと思ったが、「カンカン娘」人気はこれほどであったか。
さて映画はやはりとても良かった。高峰・灰田・笠置・岸井の唄を聞いていると心の底から朗らかな気持ちになって憂さがパーッと晴れてゆく。志ん生浦辺粂子の夫婦漫才の息もぴたりと合い、いたるところにギャグが散りばめられ、楽しいこと楽しいこと。今回は意外に頼れる家長としての志ん生の姿にほれぼれとする。幕切れに一席やる「替り目」は何度聞いても楽しい。
妻もかなり堪能した様子だったし、私も見終えてハッピーな気分にひたった。映画が終わったとき、場内から拍手がちらほら。たしかに拍手したくなるような素敵な映画だった。何度観てもいいなあ。
そんな幸福感を抱きながら、私はその足で東京駅に向かい、「つばさ」車上の人となって山形に向かったのだった。