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- 宗文館書店@東大前
獅子文六『娘と私』を読み終えた直後だけに引っかかった。文学座の俳優として所属していた著者による創立から三島由紀夫『喜びの琴』事件までに至る文学座の記録。
口絵には岸田國士・岩田豊雄(=獅子文六)・久保田万太郎の創立者“三幹事”の肖像写真。獅子文六が煙草をくわえてニヤリとしている写真がいい。また杉村春子、長岡輝子、飯沢匡、三島由紀夫、福田恆存、芥川比呂志、矢代静一、加藤道夫らの写真。これは面白そうな本だ。
お金を払うとき、お店のおじさんが「ああやっぱり売れたか」と感嘆の声を漏らしたので理由を問うたところ、売値300円を200円に書き換えたばかりだったとのこと。値下げするや否や売れてしまったということだが、別に私は値下げを狙っていたわけでなく、たまたま今日店の前を通りかかって初めて見つけたのである。
「ああやっぱり売れたか」の中味が、「ああ、やっぱりいい本は売れるのだなあ。お客さんもお目が高い」という感嘆の声だったら嬉しかったのだが。
この本は1987年に刊行されたが、中公新書はまだこの時期もビニールカバーがかけられていたのか。