ある方から招待券を頂戴しました。感謝申し上げます。金曜日は夜20時まで開館しており、ちょうど隣の国立公文書館(内閣文庫)に調査に行った帰りに立ち寄ることができた。
国吉康雄(1889-1953)という画家の名前はこの展覧会で初めて知る。1906年(明治39)、17歳のときに単身アメリカに渡り、そのまま定住しアメリカを代表する画家になったという経歴をもつ。初期・中期は濃い緑とブラウン系統の色づかいの絵がほとんどで、一見奇怪な顔の幼児をモデルにしたシュールな画風。戦後晩年は突然蛍光色のような鮮やかな赤や緑の色を多用した絵に変わる。初期から晩年まで通して作品を見ることで、一人の画家の作風の変遷を感じることができた。人間の肌の色づかいが黒っぽくくすんだものであることが気になる。むろんモデルはアメリカ人だろうから「肌色」ではないのだが、この色調は一種独特だ。
常設展では、松本竣介ニコライ堂と聖橋」や木村荘八新宿駅」、長谷川利行「鉄工場の裏」、麻生三郎「自画像」(新収蔵品)、靉光「自画像」などが印象深い。そしてやはり坂本繁二郎が見事に自分の好みのツボにはまるのだった。