2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧
病院のベッドの上でひたすら活字を目で追う時間を過ごしていると、さすがに疲れてくる。外泊許可をもらって家に戻ったとき、図版の入った本も読んで気分転換をはかろうと考えた。選んだのは、洲之内徹さんの単行本未収録エッセイ集『芸術随想 おいてけぼり』…
重松清さんの新作『なぎさの媚薬』*1(小学館)は、「敦夫の青春」「研介の青春」という二つの中篇から構成されている。もとは『週刊ポスト』連載。先般同誌は脱ヘアヌード宣言をしたそうだが、いかにも同誌向けの小説である。 前の『愛妻日記』*2(講談社、…
体調もだいぶ回復したある日、外泊許可をもらったので一時帰宅した。頭のなかで自分の部屋を思い出し、積ん読の山の記憶をたどりながら、読みたい本の場所をメモに示して妻に取ってきてもらうというのは、自ら本に触れることができず、また妻であれ他人に積…
入院騒動でネット徘徊を怠っていたら、何と南陀楼綾繁さんがこの「はてな」で日記を始められたことを知る。 →「ナンダロウアヤシゲな日々」id:kawasusu キーワード「山口瞳」で発見したのでした。
病院のベッド上での長く無為な時間をつぶすためにはどんな本を読めばいいのか。こういうときこそふだん読めないような大長篇を読むべきかもしれない。頭の中に、あれか、これか、これまで読もうと思いつつ果たせないできた長篇のいくつかが思い浮かんだ。 と…
入院後点滴・投薬治療を受け症状もやわらいでくると、リハビリなどベッドから離れる機会のある病気でないため、朝昼晩の食事が特別なイベントと言うべきほど、日常生活は波のないきわめて単調なものとなる。まさか自分が突然入院するなどとは考えてもいなか…
つねづね私は図書館で借りた本は読めないと公言してきた。いまでもこの性分は変わらない。借りてきてもいずれ期限がくれば返却せねばならない、自分の書棚には収まらない(実際のところ、書棚に本を収めるべきスペースはすでになく、床に積むというのが正確…
「獅子文六を、ぜひとも復刊しなければならない」とめずらしく強い語調で締めくくられた堀江敏幸さんによる熱い『悦ちゃん』讃「湿り気のない感傷」(中央公論新社刊『一階でも二階でもない夜』*1所収、→6/11条)を読んでまもなく、この文庫本(角川文庫版)…