三國連太郎の怪演
全編笑える映画かと期待していたら、それほどでもなし。笑いはすべて三國連太郎が取っていったという感じ。戦争で精神に異常をきたし、自分が中尉(中隊長)だと思いこんでいる蘆原将軍を小ぶりにしたような戦争妄想狂(?)を演じて絶品。先日「釣りバカ日誌」新作のニュースで好々爺然とした三國さんの姿を見たが、かつては切れ味鋭い役者さんだったのだ。そういえば成瀬巳喜男監督の「妻」でも、三國はコミカルな画家の卵を演じていたっけ。
淡島千景はどちらかと言えば私の好みではないのだが、鶴田浩二と一緒に登場する一番最初のシーンにドキッとさせられた。笑いが絶えない朗らかなお医者さん柳永二郎が開業しているのは、川本三郎さんの『映画の昭和雑貨店』*1(小学館)によれば蒲田だという。出てくる川は多摩川だったのか。