■
- 東京国立近代美術館フィルムセンター(シリーズ・日本の撮影監督(1))
真珠湾奇襲から2年後の1943年12月8日に公開された国策映画。海軍省が全面的にバックアップしている。原作が面白かったので楽しみにしていたのだが、その原作で面白かった部分がことごとくカットされて、台無し。海軍画家になった牟田口(志村喬のはず)は最初しか出てこない。また谷真人とエダのロマンスも当然カット。ただひたすら真人の江田島海軍兵学校での暮らしを描写するのみ。海軍兵学校の実態を知ったという利点しかなし。小林信彦さんも『一少年の観た〈聖戦〉』(筑摩書房)のなかで、特撮は前年の「ハワイ・マレー沖海戦」(円谷英二が担当)よりかなり見劣りしたと書いている。